カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第99回

清ちゃんのコレクション(その15)ミケ プリマートペダル



 いろいろ箱を物色していたら、一つのペダルが出てきた。前回、シマノのPD7401を紹介したが、ビンディングペダルを使い始めた頃、トークリップ式のペダルも併用して使っていた。自転車は数台所有していたので、特に支障はなかった。ホビーレースに出場する時、実業団の選手サポートに行く時、いろいろ使い分けていた。トークリップ式のものはレーサーシューズでなくとも使えるので、レース観戦や実業団レースでの補給場までの足として使っていた。



 今ではレースを見に行く機会もなく、役員としても活動していないので、そのような自転車はお蔵入りしている。レースには使わないので、どんな部品でも使える、気軽な自転車、本当の意味での趣味の自転車も持っていていいかもしれない。新しい部品を入手すると、先ず、それに組み込んで試していた。今はバラバラになって、半分眠っている。自分の中ではトークリップ式の最後の自転車だった。



 前置きが長くなったが、その自転車に使っていたのが、写真のペダルである。ミシェだのミケ、ミッチェいろいろ呼び方があるが、イタリアのメーカーである。かってはジピアメだのオフメガといったようなメーカーがコンポーネントを揃えていた。そのミケ(今回はミケの呼び名で統一する)の上級コンポーネントがプリマートである。プリのiの字が数字の1になっている通り、一番を表す。デローザでクロモリフーレムにネオ・プリマートというのがあるが、新しい一番のものという意である。



 使い心地は悪くなかった。シャフトの回転もカンパやデュラエースとは比べようがないものの、そこそこ良かった。一番の特徴はトークリップの前後調整と首振り調整ができる事である。これはトークリップのサイズ選択に迷うことから解放された。当時、クリストフのトークリップではSを使っていた。ただ、時々、体調によってはもう少し深いものが欲しい時があった。そこでMを使うと深くなりすぎる。そこでSに一枚ワッシャーをかませて使っていたことがある。そんな点ではありがたい機構である。



 また、後の蹴返しだが、見た目には単にリヤプレートを膨らませてあるだけである。これで本当に大丈夫?と思ったが、意外や意外、ちゃんと使える。このように当時、日本に入ってこなかった製品も多い。この頃、ペダルはこのミケ、フロントはサンツアー、リヤはギャリのディレーラーをつけていた。チェンホィルもちょっと変わったものをつけていた。思いだすのは、国際ロードの観戦に行っていた時、たまたまキヨ・ミヤザワの宮沢氏に会った。その時、初めはちらっと見だったが、そのうちにじっと見つめられて、発した言葉が、「清ちゃん、珍しいものつけてるねぇ・・・」だった。イタリアに住んでいた氏だけに、気がついてもらえた。



 コレクションの第2回でジピアメのペダルを紹介したが、今回のミケも同時代のものである。機能のシマノ、エレガントなカンパ、そしてジピアメやミケのペダル、ペダル一つとっても個性的だった。今、一番必要なのが個性ではなかろうか?シマノもカンパも性能、機能の差はない。あっても微々たるものである。こんな時に選択の基準となるのが個性である。万人に受け入れられるものなどないと言ってもいいかもしれない。それであれば、もっと個性を主張していいのではなかろうか?2009年のカンパとシマノを見ていてもそれを感じる。

第100回へ続く...

目次

清ちゃんへのお便りをお待ちいたしております。