カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第7回

清ちゃんのコレクション(その3)ジピアメ



 オフメガのミストラルというチェンホィルをご存知だろうか?現在のチェンホィルの原型を形作った画期的(当時は)なデザインである。それまで5アームにまっすぐなクランクがとって付けたような形だったのが、ヒトデ型のデザインに変化していった。ただ、アームを上げただけなのだが、イタリアらしい造形で性能はともかく、それまでカンパをお手本にしていた各メーカーが一斉に変化していった。曲線を使った樹脂のリヤディレーラーやチェンジレバーもイタリアらしさを醸し出していた。






 このあまりにも有名なオフメガ・ミストラルが今日のコレクションではない。ジピアメのクロノ・スプリントのペダルが今日の主役である。多分、このようなペダルを持っている人は日本では少ないだろうと思われる。先のオフメガは結構、日本にも輸入されたので出回っていたが、イタリアではカンパしか輸入されず、その他のメーカーのコンポネントはほとんど日本には入ってきていない。他にはジピアメ、ミチェ、ギャリ等があった。オフメガを始めとし、皆、カンパとは違った、オリジナリティを持った個性的な魅力ある製品があふれていた時代である。個人的にはこの時代は好きである。イタリアの会社がフランスの会社に委託して一部の製品を作っていた珍しい時期でもある。ストロングライトやサンプレックスもOEM生産している。






 さて、本題に戻るが、正直な話、これをどこで入手したのか、まったく思いだせない。ヨーロッパのどこかである。鍛造のアルミのボディ、その強度を利用しての肉抜き、短いシャフト、スライド可能なトークリップ(丸線材ではない)、ストラップといったものである。非常にオリジナリティの高い製品である。それまでクイル型と呼ばれたペダルに活を入れたのはシマノである。商業的には成功しなかったものの、AXシリーズはそれまでの自転車業界を動かした。カンパがデルタプレーキを出した時は、初めてカンパがシマノの後追いをしたと感じたものだった。欧州メーカーが挙って日本のメーカーに脅威を感じたのは容易に想像できる。この頃からカンパ製品のコピーから各社、オリジナル製品開発に力を入れ始める。先のオフメガのミストラルもその一つである。今回のペダル、じっと見ていると実に魅力あるオリジナルティというものが感じてもらえるだろうか?何かの折り、この頃の各社のコンポネントを紹介していきたい。こんなものがあったんだぁ、初めて見る!といったものが結構あると思う。現代の商品も面白いが、1980年代もかなり面白い、魅力ある製品があった。楽しい時代だった。

第8回へ続く...

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