カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第236回

清ちゃんのつぶやき(その189)ブルベ



 今週はブルべの話である。ブルべという言葉を知っている人も多いかと思うが、知らない方に簡単に説明すると、規定の時間内で決められた通過ポイントを通り走破するといったロングライドである。レースと違うのが、タイムが短い方が優勝といったものではないし、クローズドコースでもない。ブルべという用語は“認定”という意味なので制限時間内に走りきれば誰でも認定してもらえる。



 海外で有名なのはパリ・ブレスト・パリでフランスのパリから大西洋岸のブレストまでを往復する1200キロのコースである。その他にもフランスを対角線上に走るディアゴナールとかもある。日本でもオダックス・ジャパンという団体がブルべを統括しているが、ディアゴナールやオダックスという車種もルネルスや他のメーカーにあったくらい昔から盛んに行われていた。日本では近年のことである。



 玉名店のお客さんでHさんという方がおられる。最初、自転車を購入された時にはブルべなんていう用語もご存じなかったはずである。ごく普通に、近くの山や平地を走る、その内、ちょっとしたイベントを見に行く、参加するといった事をしておられた、ところが本来、陸上選手という事で素質はあった。そこで巡り合われたのがブルべである。自転車も純競技用でなかった事もあるが、ブルベみたいな走行には適したものである。これまでにもすでに雨の中、氷点下の中、200km、300kmは走破。次回、400kmを目指してのトレーニング、自転車の改造の最中である。    



 いろいろな話をしていると、自分でもあと30歳若ければ参加していただろうと思う。200回のコルナゴの話でも書いていた通り、長距離、走り込みも好きだった。センチュリーランが始まった頃も必ず参加していた。ただ、私のこれまでの最長は360km、途中、マッサージを受けるといった好条件付きであった。今回Hさんが挑戦するのは400km、それも基本単独、私にも未知の領域である。



 普通の走行と違い、ロングラン独自の走り方もある。登り一つ、立ちこぎを多用していては後がもたない。ペース配分を考えながらシッティングで上っていくような走り方も要求される。装備も普通のロードとは当然のことながら違ってくる。夜中も走るのでライトや尾灯は必需品、それに気温の変化に合わせられるようウインドブレーカーや場合によってはカッパも持っていかねばならない。そのためのバッグ、もちろん簡単な非常食や工具も要る。皆さんいろいろ考えているのが、夜間に通過コースを確認するための地図(レースと違って誘導員がいるわけではない)やそれを見るためのライト。Hさんの自転車には光ファイバーのコードで照らす工夫がなされている。もちろんマップケースは自作である。



 自転車そのもののセッティングにも気を使う。長距離を走るとサドル一つ、前後の位置や角度、高さの1ミリの違いが影響してくる。走行中は走ることだけに専念できるようにしておかねばならない。変速やブレーキの調整一つが気になり、走っていてコースミスなどがあってはいけない。Hさんにはとにかく頑張って欲しいものである。



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