カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第237回

清ちゃんのコレクション(その42)バックスキンサドル



 4月も下旬になってきたと云うのに天候が変だ。菜の花も満開になりきれず散ってしまった。レンゲ畑もなかなか満開というところまでいかない。黄色や紫の絨毯を期待していたのに本当に今年の気候は異常である。今でも昼間、寒い日がある。自転車に乗るにもなかなか冬物を手放せない。



 ところで、妙なところから昔使っていたサドルがでてきた。セライタリアのモンドリア(いくつか読み方があった。ムンドリアーレという人もいた)である。このサドル、他の自転車にも使っていた。先に紹介したコルナゴにもチネリのユニカニトール(通称ユニカ)のバックスキンサドルを使用していた。今はほとんどと言ってもいいくらい見かけなくなったバックスキンサドルだが、一時期は流行っていた。



 その理由の一つには当時のパンツの素材があった。その昔、始めての本格的ロードレーサーには当然のことながらブルックスの皮サドルを付けていた。お尻に馴染ませるように手入れもしていて具合はよかった。ただ、滑る。長い登坂の時、腰を引いてシッティングでぐいぐい走る際にはお尻が滑って安定しづらかった。その頃にチネリからプラスチックサドルが販売された。これが初のレース向けの樹脂製サドルだった。ただ、このサドル、一枚もので見るからに座りづらそうで買おうとは思わなかった。  



 その後、ユニカは改良を重ね、バッドを入れたものが出た。これはメルクスも使ったという事で購入したがなかなか良かった。更にバックスキンのもの追加発売された。これも使ってみると、当時、上りを得意とする自分に非常にぴったり合ったものだった。徐々に他のメーカーからもバックスキンサドルは発売されてきた。今回のセライタリアもその一つである。選手によっては滑りにくいサドルを嫌う者もいた。これは当然の事で、走り方が違うのである。割とスプリントを得意とする、サドルの前後を有効に使う選手にとっては多少滑ってくれた方がいいといった理由である。



 その後のサドル、セライタリアやサンマルコといったブランドも出てきてサドル選びも楽しくなってきた。メルシェに使っていたコンコールも好きだったし、ターボサルドも良かった。今もロードで使っているフライトも画期的だった。ランドナーにはロールスも使っている。今は復刻版も出ていて昔の味も楽しめる。表面の合成皮革も昔と今では微妙に変化している。もちろん、この皮だって進化してきている。バックスキンの場合、一番の欠点は雨に濡れた時になかなか乾かない事だった。あのお尻にじわっと染みてくるいやーな感触は味わった人にしか分からない。表面が乾いたと思い、座ってしばらくすると徐々にパンツに染みてくる。そんな意味では今のサドルは進化してきているなぁとつくづく思う。



 今のものなんて濡れても一拭きすれば大丈夫である。これにはパンツ自体の素材の進化もある。乾きやすく、汗は排出する、サドルに座っても変な滑りはあまりしなくなった。昔なんてウールのジャージである。本当に時代の変化は素晴らしい効果をもたらしてくれるようになった。



第238回へ続く...

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