カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第84回

清ちゃんのつぶやき(その69)フロントディレーラー



 コレクションの中に多数のディレーラーがある。時折、眺めていて、フロントディレーラーって、少し可哀相だなと感じる。リヤディレーラーに比べると注目度も低い。雑誌のインプレッションでも、リヤは半ページ使って紹介してあるのにフロントは3、4行で終わっている事も少なくない。コレクターでもリヤには関心を持つのに、フロントには関心を持たない人がいる。



 どうしてもリヤの方が部品点数も多く、メカニズム的に注目されるし華やかである。チェンの掛け替えと同時にたるみをとるという二つの機能を満足させなければならないリヤに比べれば、フロントの方はチェンの掛け替えだけの役目しかない。実際、使用上も頻繁に使うリヤに比べればフロントの使用頻度は少ない。



 ただ、フロントの重要なところは歯数差の大きいギヤへチェンの掛け替えをしなければならない事である。これは1,2歯しか違わない、歯数差の少ないリヤに比べれば大変なことである。MTBでトリプルが使われるのにもそんな事情がある。フロントとリヤのトップとローさえうまく組み合わせれば、MTBでもフロントセンターギヤは使わなくともギヤレシオは満足させる事ができる。あえてトリプルにしてあるのは、歯やチェンの耐久性といった理由もあるが、歯数差を少なくして変速をより容易にするためでもある。



 歯先の加工だけですむリヤスプロケットに比べれば、フロントのチェンリングは更にピンを打ったり、板の凹凸をつけなければ変速しにくい。フロントで一番の仕事をしているのは内側のプレートである。チェンをアウターに押し上げるという仕事だが、表からは見えにくい。外側プレートのデザインはとやかく言われるが、内側を言う人はほとんどいない。



 なかなかスポットライトが当たらないフロントだが、そんな目で見てあげると、トランスミッション部で裏方をやっている、その姿に愛おしさを感じてくる。それにしても、直付だのバンド締めだの、バンド径も数種あったりと、同じプレートを使っている割には今は種類が多いですよね。製造や販売する方にしてみればやっかいものなのかな?

第85回へ続く...

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