カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第82回

清ちゃんのつぶやき(その67)デュアルコントロールレバー



 お客さんから改造の相談を受けることがある。ちょっとしたことなのだが、一ランク上のパーツにしたい場合、必ずシフトレバー等の問題につきあたる。本当にやりにくくなったものである。シマノがデュアルコントロールレバーを出す前までは他社パーツやグレード別の部品の組み合わせはある程度、自由だった。逆にこれをなくしてしまおうと云うのがシマノの戦略だった。



 シマノはデュアルコントロールレバー、カンパはエルゴパワー、そして今ではスラムも加わってブレーキレバー一体型シフトレバー(?)全盛期である。確かに便利である。自分で使っていてもシフト回数が増えている。ただ、昔を知っている誰もが思っている事だが、重たいし、高額である。手にとってみても、ずしりとくる。ブレーキレバーとシフトレバーが別だった頃に比べて格段に重い。



 シマノのカタログで見ても、デュラエースの単体のブレーキレバーで260g、直付けのシフトレバーでは76gでしかない。合わせても336gである。対して、デュアルコントロールレバーでは420gもある。更に重たく感じる要因はレバー単体の重量である。ステム取付中心でハンドルを操作するが、レバー部で重量があるとハンドル操作も重たく感じる。外周は軽いにこしたことはない。選手によっては左(フロント)だけ普通のシフトレバーを使っていたこともあるが、今のフレームではアウターストッパーが直付されている事も多く、それさえやりにくい。



 価格自体もブレーキレバーで6200円、シフトレバーで7000円(高い!)と合わせて13200円であるが、デュアルコントロールレバーだと40000円を超える。そんなもんだと思っていると分からないが、冷静に考えると異常に高額である。確かに分解してみれば、それなりに手がかかっているのは分かる。



 ただ、ちょっと考え方を変えればもっと簡素化したものが生まれてきそうな気がする。昔、サンツアーでコマンドレバーというのがあった。ブレーキレバーの横にシフト用のレバーを後付けしたものだが、それなりに便利で軽く、安く自転車を仕上げることが出来た。レバー操作で変速するという方法をボタン操作で、というのがカンパの電動変速機の考え方だが、少なくとも今よりは重量面では有利になるものと思われる。



 スラムが何かレーシングパーツをやろうとしているというのは数年前に聞いた事があった。その時はシマノとは違ったものと期待していたが、発表されたものを見た時、レバー操作の仕方が違っただけのものだったのには落胆した。シマノの対抗馬を作ろうと考えるなら、同じ様なものしかできない。発想方法、観点をほんの少しだけ変えただけで全く新しい簡素なものが出来るような気がする。軽く、安く、使い勝手がいいもの、そんなものが出現することを楽しみに待っていたい。

第83回へ続く...

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