カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第8回

清ちゃんのつぶやき(その4)人間味のある製品



 レストアやオーバーホールをやっていて、一番やっかいなのはゴムや樹脂製品である。手元に届いたときには駄目になっている場合が多い。ブレーキレバーパッド、シュー、タイヤ、細かいところではプラスチックのワッシャー、クランクキャップもある。ブレーキのアジャスターボルトのすべり止めリングもある。現行の部品も目立たないところには使ったりしている。結構、ぱっと見には分からないし、少し加工するだけで合うようにもなる。ワッシャー等は金属のものに変えても上手く作動する場合も多い。



 ただ、困るのはプレーキレバーパッド。カンパ等の高級品は比較的簡単に入手できるが、国産ランドナー等に使われていた、シマノやダイヤコンペ等はパッドだけの入手が難しい。無理やり合いそうなものを付けれるものはいいが、無理をしても、削っても、合わないものは合わない。そんなときにはレバーごと交換という手もあるが、ダイヤコンペのカンチブレーキにシマノのレバーだと何となく、持ち主の了解はとったものの、こちらがもやもやした気になってしまう。もっと以前のダイヤコンペ#144だとパッドを使っていないのでかえってやりやすい。他の人達はこれらの部品はどうしているのだろうか?



 個人的に各種の部品を持っているのだが、それでも、ないものはない。そうそうカンパ等は壊れたものも捨てずにいる。これが意外と役にたつ。ディレーラーなどはワイヤーの止めねじ等がなめたり、角がとれたりしている場合等にボルトだけでも使える。本体のパンタグラフしか残らなかったりした時は飾りとして利用する。ときにはピンを抜いて、その精度を調べてみれば面白い結果がでたりする。鉄レコ等はメッキをはがしてみると、その溶接痕が現れる。非常に興味深い、そして手の込んだ作りだったということも判ったりする。話は脱線するが、当時のカンパは高かった。しかし、こうして見るとその理由が納得できる。ハブやヘッド・BBワン等を切ったり、測ってみたりすると精度をあげるために、ものすごい手間隙をかけていた事が分かる。新品を切り刻んだり、メッキを剥がすのには相当抵抗があるが、このようなものだと気軽にできる。そうすると、思わぬ発見がある。



 昔のものは工作機械そのものの精度や性能がよくなかったために、それを人間の手で補っていた。それが人間味のある製品になっていた。その点、今のものはよく出来すぎて面白みはなくなっている。性能や精度は上がっているが、人間のぬくもりが感じられなくなってきている。一抹の寂しさはある。

第9回へ続く...

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