カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第52回

清ちゃんのつぶやき(その41)ジャスト・イン・タイム



 少しずつ08モデルが顔を出してきた。この時期、自転車屋としては最も頭が痛い。お客さんの欲しいものがすぐに入手できない場合が多い。現行モデルの在庫は少ない、あると思えば極端に大きいか、小さいサイズのもの、若しくは人気のない色だったりする。かと言って、08モデルが出揃っているかと言えばそうではない。08モデルが出揃うまでには年内いっぱいかかる。先日、来店されたお客さんの言葉が印象に残る。「自転車に乗るのにはいい季節だけれど、買うのにはそうじゃないですね。」全くその通りである。



 部品にしても08モデルとは関係ないが、商品の欠品が目に付く。生産根拠が日本を離れてから久しい。それが今、このような形で現れてきている。メーカーや問屋はできるだけ在庫を持ちたくない。10点注文をして、届くのが5点という事も珍しくない。10点揃って一つの修理が終わるのに、残りが来るまで手を付けることができない。本当に困ったことである。



 今の時代、欲しいモノがあれば、すぐに手に入れることのできる時代である。ところが自転車に限ってはそれが言えない。特に地方にいるとそれが実感できる。08モデルもメーカーの発表会に行けば先行予約ができるものがある。ところが、東京、大阪だけで行われてもなかなか行く事ができない。せめて福岡あたりでもやってくれれば、時間調整してでも行くことは可能である。



 メーカーでもなかなか入手できない事を売りものにして、希少価値を持たせようとするところもある。ただ、あまりにもそれが行き過ぎると、いずれはユーザーから相手にされなくなってしまうおそれもある。確かに海外から入荷して、すぐに発送できれば倉庫代は節約できる。しかし、カタログを出している以上、それに掲載されている商品がないというのはユーザー側にしてみればおかしいと思われてしまう。そこに気付いてほしい。



 なんだか愚痴っぽくなってしまったが、このHPを見られているメーカーや問屋、卸業の方々、ユーザーとの狭間に立っている我々の事も考えてほしい。一頃言われていた”ジャスト・イン・タイム”、欲しいものが欲しい時にすぐに届く、その努力をやってほしい。完成車に関しては現行モデルと次期モデルをつなぐためのモデルを用意するといった事も不可能ではないはずである。今年は無理としても、来年には期待したい。

第53回へ続く...

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