カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第50回

清ちゃんのコレクション(その8)50周年記念セット



 このコーナー、今回で50回となる。週に一回、書き始め、もう少しで一年になる。当初、ロードマンのオーバーホールをしていた、それを書いたのがきっかけである。我ながら、よくも一年間近く書き続けたものであると感心している。



 とにかくも、50回目、50と言えば、ユーレーのジュビリーかカンパの50周年となる。ジュビリーにしようと決め、押入を捜すが出てこない。もっと奥にあるのだろうと思う。カンパの方はケースに入っているので、比較的捜しやすかったというのが、今回の紹介となった。



 この50周年、ちょっとした理由で2セット半(?)分ある。正確に言えば、2セットはケース入り、他のパーツでトランスミッション部とブレーキ部がある。最初の1セットは使う予定のないコレクション用だった。高価だったので、1セットしか買えなかったという方が正しいかもしれない。他にもスーパーレコードは旧型、新型と持っていたので、特に50周年を使う計画はなかった。



 旧型はコルナゴに、新型は以前に紹介したメルシェに使っていた。基本的には新型と機能、性能は変わりがないので、特に使う予定はなく、コレクション用とわりきっていた。使ってしまうのにも気がひけた。その後、海外に行った時に現地の友人の知り合いからトランスミッション部とブレーキ部を購入。これは実際に少し使ってみた。



 このケース、最初にケースを開いた時、カンパのブルーが目に飛び込んで来るのは感動である。至る所に50周年のマーク、シリアルナンバーを記入されたタッグも、好きな人にはそそられるものがある。それにしても、チュウリオ・カンパニョロが会社を興して50年、あまりにも有名なクイックレリーズのハブから始まった。今に至ってもこの機構、何ら変わっていない。カンパの偉大なところはハブ、パンタグラフのディレーラー、そしてコンポネントという概念ではなかろうか?



 初めて買った部品はハブだった。もう30年以上も前である。もちろんジュラエースもなかった。手にして、軸を回した時の感動は忘れない。ヌルッとした回転、今まで味わったことのない感触だった。聞くところによれば、ボール、一個、一個の重量を測り、一定の範囲の中からボールを使い、ハブを組み立てるといった事をしているらしい。納得できる話しである。ハブも以前、切り刻んでみたという事を書いたが、玉押しや受け部の精度を出すためにかなりの苦労をしているし、実際、手間がかかっているのを見る事ができる。



 ワッシャー一枚も疎かにしていない、その姿勢は手にした人にしか解らない。その後、変速機等を購入するが、カンパのものを使うと、他のものが頼りなく思えてきていた。いつの間にかカンパにはまっていた。カンパのすごいところはコンポネントの概念と書いたが、自社製品の性能を発揮させるためには、取り付けるフレーム精度もあげてもらわなければならないという考えのもと、あの大工具セットまで用意したことである。ねじの基本を理解していなければできないことである。



 カンパは今も進化し続けている。ちょっと迷った時代に、ジュラエースに入り込まれた事もあるが、それなりに刺激を受けて進化している。カーボンや電動変速機もいち早く研究し、カーボン素材では先んじた。電動の方もジュラエースより先に発売されると思う。大切なのはジュラエースに影響されることなく、独自の道を歩んでいくことである。幸い、ジュラエースはデザイン的にグロテスクな方向に向かっている。この間にいかにもイタリアンといった、スマートで洗練されたデザインを確立していければ差をつける事ができると思う。ガンバレ!老舗!



 あれっ?50周年の紹介はどうなったんだっけ?

第51回へ続く...

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