カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第35回

清ちゃんのつぶやき(その26)楽しい時間



 最近、初めて、または久しぶりにスポーツ車に乗ってみたいという人が増えている。この傾向、昨年、ガソリン価格が値上げされた頃から顕著に現れている。通勤に使うというのが目的だったが、自転車に乗る楽しみを発見、再発見した人たちも多く、休みの日には遠出をしたり、買い替えをする人たちも増えている。



 昔、自転車少年だった人も多いが、この人たちは2つのタイプに分けられる。今のフラットロードやシティマウンテンに向かうタイプと青春をともにしたロードマンやランドナーにこだわるタイプである。



 このような人たちも今から購入を考える場合は初心者である。初めての自転車選びは大変である。一番大変なのは目的を絞りきれない事である。通勤にも使いたい、休日には近郊も走りたい、連休には荷物も積んでツーリングもしたいといったような、欲張りな自転車になってしまう。さらに折りたたみができれば、電車に乗せて・・・とか言われると我々も困ってしまう。



 考えてみれば、このような要求に応じることのできる自転車がそれなりにあった。それが輪行用ランドナーであり、スポルティーフであった。ただ、万能タイプというのはどれにも中途半端な性格を持つ。そのため、かってはロードレーサーとランドナーと2台所有していたという人達も身の回りにはたくさんいる。



 話は少し逸れるが、折りたたみ車を購入する人たちの8割は折りたたみをしない。折りたたみができればいいなとか、何となく思って購入してしまう。実際の使用において、そんな場面に遭遇しない、折りたたみが面倒だ等の理由でそのまま乗っている。そんな使い方がほとんどである。



 さて、自転車を購入したいと考えている方、まずは自分の走る目的を絞ってほしい。同じ通勤でも晴れた日にしか走らない人、土砂降りの雨でも走らざるを得ない人、さまざまである。アップダウンが多い通勤ルート、ほとんど平地のルート、がんがんとばして走る人、のんびり走る人、自分の走る姿を想像しながら自転車を選んでほしい。



 次に予算もたててほしい。よくあることだが、自転車だけ考えてヘルメットだのウエア、シューズ、バッグ等を入れていない。通勤用にしても、ライトやマッドガードの部品用品まで考えていないという事がある。また、高価な自転車は消耗品の価格も高い。タイヤやブレーキシュー、スプロケットも高い。イタリア製カーボンフレームにジュラエースのコンポ、それなのに安いタイヤや廉価な中国製シューが付けられているとがっかりするし、本来の性能を発揮できない。ランニングコストも頭に入れて購入を考えてほしい。



 また、選ぶ際にはインターネットや雑誌なども参考にする。それはそれでいいのだが、インプレッション等、鵜呑みにしないでほしい。きつい上りでフレームのたわみが云々というのは上級者レベルでの話である。全日本のトップ集団に加わるのであれば必要だが、一般レベルでは全く関係ないと思って差し支えない。



 走る目的・用途を絞り、予算をたてたら、あとはカラーリングやデザインで選んでいってかまわない。実はこの期間が一番楽しい。納車時には気持ちが半減しているという人も多い。我々も接客していて、早く決めろという言動はしないようにしている。これはこの楽しい時間をお客さんに味わってもらいたいからである。

第36回へ続く...

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