カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第331回

清ちゃんのつぶやき(その274)キャンピング車 その4



 ハンドルに関して、ブレーキレバーは通常より少しアップ目にセットしてあった。それに左右のレバー位置が違っていた。いろいろ見ていると右を基本にした方がいいと感じて、左を合わす。分解時に一度来店されているが、その時、「使えるかどうか分からないけど、要らなかったら捨てて下さい」と言って、いろんな部品を置いていかれた。その中に同じダイヤコンペのレバーがあり、そちらの方がガタもなく綺麗だったので、それを使う事にした。マファックの直付けブレーキも部品が不足している。旅の途中で様々なトラブルが生じた事が見てとれる。ワッシャーやタイコを加工しながら何とか形にする。ブレーキシューは新しいものにしたが、マファックのシューホルダーは使わなかった。



 フロントキャリアは錆を落としただけ、今回、シートステーにあるダイナモ台座、泥除けにあいているコードの穴は使わなかった。左ダイナモの入手が難しいためと、これからの使用状況を考えるとハンドル取り付けのLEDライトでもいいような気がした。仕上げのバーテープは青色にした。持ち込まれた時は当時、欧州で流行っていたスポンジ系のパイプがバーに挿入されていたが、劣化していて使いものにならない。テープを青色にしたのは装着されていたブレーキアウターが青色だったからである。少しでも当時のイメージをどこかに残しておきたかった。



 バーテープを巻く前にもうすぐ完成する旨、電話をいれておいた。阿蘇に住んでおられるので、出来たからといってすぐに来られるとは限らない。テープを巻き(ダイヤコンペのパッドなしレバーの当時の巻き方)、最後の調整を済ませた数日後、来店された。親子三人、本当に仲がいい。先ずは完成した自転車を見てもらい、店内を試乗してもらう。最初は少し戸惑いがあるように見えたが、何となく手ごたえを感じた。もう少し乗り込めば昔の感覚を取り戻してもらえそうである。お礼にと言って自分で作られた野菜等を頂いた。帰り際、もう一度、駐車場で乗られた。その後、忘れ物があり、戻って来られたが、その時、言われた「大切にします」の言葉で、こちらの想いが伝わったような気がした。



 今回、お父さんの冒険旅行は何十年か前に終わっていたが、自転車はこれでやっと旅を終えたのではないかと思う。人間に例えれば、旅を終え、ゆっくり風呂に入って体を洗い、新しい下着に着替え、服を着る、そんな感じである。過酷な旅を終え、のんびりした気分になって新しい道に向かっていく、これから先はお父さんと共に人生を歩んでいってもらえればと思っている。



 先の置いていかれた部品だが、ブレーキレバーは使ったが、大半は使えないものだった。ハブにしても本体はフランジが曲がり(!)使いものにならないので捨てたが、120ミリのハブ軸等は今となっては入手が難しいので外して残している。28TのチェンリングもTA、スギノと2枚あってシャークトゥースになり、歯が減っている。これなどは捨てるに捨てきれないでいる。減った歯が8万キロの旅の証でもある。インナープレートがチェンのピンによって削れたサンプレのフロントディレーラーも錆びてはいるが同様に捨てきれない。春需が終わったら掃除をしてお返ししようかと考えている。



 それにしても、店で相方とも話すが、我々は本当にいいお客さんに恵まれているなぁと感じる。今回に限った事ではないが、本当にいろんな方に感謝される。感謝するのは我々の方なのだが、逆にお礼を言われる。お互いが幸せな気分になって自転車の受け渡しを行える事にありがたみを感じる。



第332回へ続く...

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