カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第298回

清ちゃんのつぶやき(その241)日向往還 上野−矢部(その2)



 六里木跡からは舗装された細い山道を進む。途中、八勢溜池というのがある。その先にお地蔵さんの祠、左側に“右ふきの”と読める。後から調べたら吹野という集落が445号線沿いにあった。ここが御船と矢部の境にあたる。更に進んでいくと日向往還の道標、上部には矢印があり、進むべき方向が示されている。これにはこの後、非常に助けられた。これがなければ豊後街道の時みたいに、とんでもない所に行ってしまう可能性もあったと思う。





細い山道
 この辺り、今は何にもないが、昔は旅籠もあったという。確かに熊本を出て、健脚ならば早朝に熊本を出ると矢部まで行けたかもしれない。ただ、そのような人達ばかりではない。年老いた人もいただろうし、女性もいただろう。天候も雨の日や風の強い日もあったに違いない。六里木でさえ、時速4kmで歩いたとしても6時間である。その間、軍見坂や八瀬眼鏡橋からの上りもある。休憩も必要だっただろう。そんな事を考えると、ここらあたりに宿があってもおかしくない。


茶畑の中の碑


日向往還道標
 茶畑の中にぽつんと碑がある。何だろうと思って近寄ると尋常小学校跡地の碑だった。後は細い山道をひたすら走る。石畳が少しだけ残っている所もあった。“赤子谷”やら“鬼の巡り石”だの何やら不気味な名の史跡も残る。夜だったら絶対通りたくない所である。そのうちに矢部ゴルフ場に突き当たる。低いフェンスがあるが、そこに日向往還の道標、入っていいものかと一瞬思ったが、自転車をちょっと担いで鎖を越えた。左右はグリーン、ゴルフをやっている人達に挨拶しながら未舗装路の往還跡をたどる。出口で道が消えているので445線に出る。この道も間違いないのだが、もう一本あるはずである。せっかくなら国道ではない方を走りたい。


石畳


ゴルフ場の中の往還道
 うろうろしたが、病院があって、その裏に山方向に向かう道があるのを見つけた。近くに交番があり、念のため聞くと赴任してきたばかりで知らないと言う。とにかく、これだと確信し(実際、後から聞くとやはりその道だった)、自転車を押して上る。暗い山道を上っていくと、往還らしい雰囲気になってきた。ところが、途中、コンクリート製の“陸軍所轄地”の標、その近くには“自衛隊演習場につき立入禁止”の札があった。流れ弾にでも当たったら痛そう(?)なので、仕方なく引き返して国道に戻った。


ゴルフ場の中の道標


旧往還道
 工事をやっていて、下りかけた所から立野橋に向かう。この橋、最初見つけられなくて行き過ぎてしまった。途中で聞いて後戻り。捜して見たら分からないはずである。これまでと同じアーチ型石橋なのだが、水路と併用し、アーチ部分が小さい。上から見ると石橋とは気がつきにくい。左は水路、右は田んぼといったあぜ道を歩くが、誰も通らないのか土がぶよぶよしていて歩きにくいし狭い。廃校になった小学校裏を通るルートだが、前を見ると蛇、それも茶色、頭が三角、これはマムシではないか!あわてて引き返し国道から小学校前を通り、金内橋に向かった。


陸軍所轄標


立野橋


立野橋先のあぜ道

第299回へ続く...

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