カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第299回

清ちゃんのつぶやき(その242)日向往還 上野−矢部(その3)



 金内橋、眼鏡橋だが、左右のアーチの大きさが違う。一つは本流のため、もう一つは井手(田畑に水を導く水路)のためである。井手からはマムシのいた立野橋(つまり水道橋)に水が流れるようになっている。クレーンなどない時代である、昔の人は偉いなぁと感心する。さて国道を横切る前に自販機でオレンジジュースを飲む。そう言えば茶屋本からここまで自販機もなかった。街道跡なんてそんなものである。もし、昔の道をたどるような事があれば多少の食飲料は持っておいた方が賢明だと思う。特にこれからは暑い夏に向かう、昔の道には水飲場があったが、人が通らなくなってからはなくなっている場合が多い。


金内橋


金内橋より先
 国道を横切ると進路を左にとる、ここに日向往還の道標、山道をひたすら登っていく。やがて快適な下りとなる。この辺り、草が刈り取られたばかりなのか、草の臭いが残る、気持ちの良い道である。ここら辺りが本来九里木のあった場所である。途中、えっと思う所に又もや道標、草が刈り取られていなければ見落とすところだった。やがて広く見渡せる所に来た。突角という集落、地図では往還跡があるのだが、廃道になっているのか、家が建ち、往還跡も分からなくなっている。道標もない。誰もいないような、そんな静かな集落で一台のタクシーが来て老人を降ろした。昔から住んでいるような人なら知っているだろうと思い尋ねてみた。もうその道はないとの事だった。道標が近くにないかと聞くと、タクシーの運転手さんが見た事があると言う。


山道


分岐点(右が往還)
 この道の先と言って先行してもらい、道標のある所で待っていてくれた。さすが地元の運転手さん、お礼を言ってから進む。先はなだらかな下りになっていて、景色が開ける。それからは道標に従い、畑を耕している人達を横に見て小さな丘を登る。そうすると国道218号線が見えた。あとはそれを横切り矢部の町に入る。入口に大きな日向往還の碑、入口は浜町橋である。これも渡っていると気がつかないが眼鏡橋、商店街に今回の旅のベースになった日向往還の冊子(日向往還顕彰会発行)を入手した観光案内所がある。ここでこれまでの地図の間違い等、気がついた点を話し、これから先の道についての情報をもらう。自転車だと大変な所もあるらしい。


気持ちの良い道


運転手さんに
教えてもらった分岐
 せっかくなので通潤橋に立ち寄る。いつ見ても素晴らしい石橋の一つである。町中が十里木だが、何もない。次に浜町の起源となった“浜の館”跡へと向かう。“浜の館”、阿蘇大宮司が矢部に移り住み長年統治してきた中世の城跡である。跡地は今、矢部高校となっている。正門からと思ったが、何となく学校に入るというのは気が引ける。ちょうど、男女の生徒が入口付近に数名いたので尋ねると知らないと言う。おいおい、自分たちの学校が如何に由緒ある場所なのか知らんのか!その内の一人が「そう言えば裏の方に何か説明板がある」と言ったので裏道を回って進むとあった。建物の礎石が並べてある。これは少し離れた場所から移動させてあるらしいが、それでも昔、400年近く屋敷を支え続けていたものだと思うと感慨深いものがある。ここからは昭和の発掘の際、20点以上の宝物が出土して、今は県立美術館に保管されているらしい。この他にも古くから栄えた街らしく、見どころがたくさんある。


矢部手前の道標


浜の館跡


武将くまモン(奥は通潤橋)


浜町橋


矢部街入口道標

これから先の日向往還

第300回へ続く...

目次

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