カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第293回

清ちゃんのつぶやき(その236)島一



 先週、島一(しまいち)をやってきた。島一とは“島原半島一周”の事、荒尾・玉名サイクリストの間にだけ(?)通用する用語である。ちなみに有一(ありいち)というのもある。これは有明海一周の事で、地形的に熊本県の長洲港と長崎県の多比良港を結ぶ有明フェリーを利用する事で比較的簡単にコース作りが出来る。島一も有一も各約100kmで両方を組みあわせると200kmコースが作れる。そんなにきつい坂が少ないのも特徴である。因みに島一ではがまだすロードと雲仙グリーンロードを使う健脚サイクリストもいるし、島原半島を8の字に回る超健脚人もいる。



 今回は極オーソドックスに海岸線を反時計回りに回る事にして、朝8時半のフェリーで熊本港を出発した。出港前に駆け込んできた自転車が一台、神奈川から来た人で鹿児島から九州北部を回っているとの事、青のフェルトのロードバイクで軽装である。1時間後に島原に到着、そこで分かれてこちらは北上する。意外と調子いいと思って走っていると何と追い風、西側に入ると向かい風が待っているはずである。愛野展望台で昼食と思っていたが、それには少しばかり早い。そのまま小浜に向かう。



 愛野からは昔の鉄道跡を走る。かって長崎のサイクリングクラブで走っていた。長崎から小浜まで行って食事をし、温泉に入り、また長崎に戻ってくるようなクラブランもあった。そんな時、鉄道跡を走る軟弱組とは別に、健脚組として国道をそのまま登り下って合流していた。そんな事で鉄道跡を走る機会がなかった。今回、初コースである。今の体力に合っているのか、緩い勾配で走りやすかった。小浜にて休憩する。



 今回、行ってみたかった所が島原鉄道の終点でもある加津佐。中学生の頃、初めての泊まりがけのサイクリングを経験した所である。何かの大会(よく、○○サイクリングラリーとか呼んでいた)だったと思う。近所の高校生のお兄さんと佐世保近郊から諫早まで行って宿泊、翌日、開会式後、諫早から加津佐まで走った。夏の暑い日で島原から先はあまり舗装されていなかった事を思い出す。宿泊が口之津と加津佐に分散され、我々は加津佐の海水浴場が見える宿に泊まった。未だに覚えているのが、ここでジュークボックス(知らないだろうなぁ)というのを初めて見た事である。翌日には諫早経由で帰った。



 今、当時を振り返ってみるとすごい事だなと思う。高校生と中学生が泊りがけの旅に出る。もちろん携帯電話なんてない時代である。今、そんな事をやろうとしたら学校や家族を巻き込んでの大騒動になるかもしれない。それでも本当にいい体験をしたと思っている。その後、今度は一人で出かけるようになり、最初は熊本の親戚や知人の家に1泊か2泊、そのうちユースホステル等を利用するようになり2泊が3泊となり、やがて平気で1週間、半月となっていく。



 でも一人で旅行するうち、困難な状況に陥った場面で、誰にも頼らず、自分で考え、自分で行動するといった、所謂、自立心という事を身につけたと思う。これはその後の旅行や出張にも役立った。特に勤めてから海外に行くようになってからは多い。予定の空港に悪天候のため着陸できなくなった、空港で自分の荷物が出てこない、言葉も習慣、貨幣さえも違う土地でいかにして乗り切っていくのか、やはり自分自身で考え、実行していくしかないのである。また、旅にしても計画して実行する、途中で計画が狂ったら修正しながら進む、そんな事を若い頃に経験しておく事も必要なのではないかと最近つくづく思うようになってきた。



第294回へ続く...

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