カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第278回

清ちゃんのつぶやき(その226)親子



 先日、お父さんと息子さん(小学校低学年)が来店。サイクリング帰りであるがなんとも見ていて微笑ましい。自転車に乗る人にとっては、誰しもそうだが、子供(特に男の子)とサイクリングをする事は理想である。身の回りにも男の子が生まれたら一緒に自転車に乗ってと考えている人がいるし、それを実行している人もいる。昔からそのような人達をたくさん見てきた。ただ、子供が高校生や大人に成長しても自転車をやっている、そんな事は残念ながら多くはない。 



 最初に注意しなければならない点は親バカな点である。結構、ベテランサイクリストに多いのが、自分では何ともない坂や道が、子供にとっては重労働だったりすることである。コースにちょっとした坂があったとする。息子は大丈夫かなと思いつつも、意外に頑張って、上りきれた。さすが我が息子と「OOちゃん、よくがんばったねぇ」とほめたりもする。そして次回のサイクリングに誘うと「行かない」などと言われる。子供を楽しませる事ができなかった例である。もちろん子供自身の性格にも左右されるが、せめて半年間くらいは簡易なコースと子供が興味を持てる施設等をコース内に入れたプランが必要ではないだろうかと感じる。



 子供も小学校低学年や中学年だといいが、高学年になってくると場合によってはめきめき体力が向上してくる。下手をすると「お父さん、早くおいでよ!」などと叫びながら、坂の上で子供が待っていたりする。子供は伸び盛り、逆に親は体力が低下してくる。知り合いの元国体選手も子供が中学生になった時点で完全に逆転したと笑いながら話していたことを思い出す。この子は関東のホビーレースでも何度か入賞するようになった。



 先ずは走る楽しさを味わわせる事が先、その内に子供側から「お父さん、今度はOOに行ってみよう」とか「XX丘を越えてみよう」とか言い始めるのを待つのも方法かもしれない。どこかに行ってみたいという興味を抱かせる事が長続きする事に繋がるようである。また、メカに興味を持った子であれば、工具を持たせていろんな調整をやらせてみるのも面白い。これも知り合いの自転車屋だが、メカに興味を持たせすぎて子供は家を継がずにクルマ関係の仕事に就いたというのもある。小学生にパンク修理を教えた親がいるが、その子は高校生になった時には1週間、一人で夏休みにツーリングに行っている。



 いずれにしても子供に、自転車で一緒に走ったという思い出を作ってあげる事は大切だと思う。いずれ大きくなった時に、あの頃の親父は・・・とか思い出してもらえるならばそれはその子にとっては財産になる。親子の絆を深めるには自転車はとてもいい手段だと思う。これは女の子でも同じである。「昔、お父さんと自転車でいろんな所に行った」と話す女性がいた。大学生になった頃にお父さんは若くして亡くなっているが、その娘にとっては生涯忘れられない思い出として残っている。子供に楽しい思い出をたくさん作ってあげる事が親の責務かもしれない。



第279回へ続く...

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