カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第27回

清ちゃんのつぶやき(その19)コミュニュケーション



 たまには自転車に関係ないことを書いてみたい。今、アメリカの野球では松坂だの、松井やらのニュースが毎日放送される。野球に限らず、海外で働く、仕事をするということは、ものすごいエネルギーを使う。観光で行って、わいわい買い物をする事とは訳が違う。先ず、言葉。コミュニュケーションができなければ仕事にはならない。いくら素晴らしい技術や知識を持っていようと、それを伝える術をもたねば何にもならない。試合中に通訳を介するわけにはいかない。



 サッカーの中田、ゴルフの宮里、卓球の福原、それぞれに現地の言葉を習得している。せめてインタビューには現地の言葉で返してほしいものである。余裕が出てくればジョークも入れることができてくるくらいになってほしい。それで現地の人やチームメイトとコミュニュケーションがとれるようになってくる。



 言葉は本当に難しい。「爆弾持ってますか?」と問われれば、「はい、持っていません」というのが大方の日本人の返答だが、外国で同じ問いには「いいえ、持っていません」と答えなければならない。「YES」と初めに答えようものなら、即、逮捕である。仕事上でイエスとノーを間違えることはできないのである。現地に行けば言葉なんて話せるようになるさ、という考えで行っても、話せるようにはならない。そんなに甘いものではない。



 それに現地での習慣。日本とは全く違うということも多い。日本国内でも地域によって習慣が違うというのも珍しくない。海外ではなおさらである。現地の人が当たり前と思っていることが我々には当たり前ではない事も珍しくない。街中に出て、地下鉄に乗る。販売機でチケットを買うが、日本では先に金を入れる。次に行き先のボタンを押す。海外ではこの逆が多い。先ず、行き先を押して、金を入れる。こんな些細なことから違うのである。



 そんなことを経験していくうちに、モノの考え方が違うということが理解できるようになってくる。風土、習慣が違えばモノの考え方は変わってくる。それでも、同じ人間。外国の人にも義理人情があることも理解できるし、相手の考え方も理解できるようになってくる。



 そんな目で日本で働いている人達を見てほしい。相撲での外人力士等、スポーツ選手だけではない。日本独自の世界の中で働くというのは大変なことである。ジャーナリストやビジネスマン、いろんな所で皆、働いている。その中でいい仕事をするということがいかに大変なことか、きっと、口には言えないような苦労をしていると思う。そんな事を考えることで、今までとは違った目で彼らを見ることができる。そんな自分に気がつくようになってくる。これこそが自分自身を成長させてくれる。



 スポーツに限ったことでもないが、一番苦労するのは先駆者である。大リーグでは野茂がいる。F1では中嶋がいる。逆に国内に来たのが相撲では高見山、最初に出ていく人がいたからこそ、後に続く者が出ていきやすい環境が整えられていく。皆、本当に苦労したに違いない。自転車でも市川選手以来、数人が欧州プロ選手として海外に出たが、その後が続いていかない。もっと世界に飛び出してもいいような気がする。大リーグではないが、どんどん世界にチャレンジしてほしい。結果はどうあれ、必ずその人の人生にはプラスになる。ツールの最終日、パリを走る日本人選手をシャデリゼで拍手で迎えたいというのは私一人ではないはずである。あれ?結局、自転車の事になってしまった。

第28回へ続く...

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