カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第267回

清ちゃんのつぶやき(その216)豊後街道(笹倉−神堤)その2



 国境(くにざかい)を越え、大分県に入ると豊後街道の名が変わる、肥後街道となるのである。大分県に入ると途端に案内表示がなくなる。それを踏まえてか、途中にまだ新しい、勝海舟と竜馬、吉田松陰の3人を描いた看板が出来ていたりする。今回、街道捜しに非常に役に立ったのが「シングルおやじの気ままな一人旅」というブログだった。実際に数回に分けて豊後街道を走破した人のブログだが、分岐点の説明や写真があり分かりやすかった。また書いていなくとも進むべき方向のヒントが隠されている。



 これと「豊後街道を行く」(弦書房)の本を合わせ読む事で今回は比較的順調に進む事ができた。進む事で更にこちらの勘も研ぎ澄まされてくる。ブログや本の後に新しく広い道ができ、分断・改修されていても勘を頼りに進んでいくと正しかったりした。何となく大昔に通ったような感じさえも受ける。ひょっとしたら前世でこの道を何度か歩いたのかもしれない、そんな事を思ったりもした。


三本松 先
 三本松集落から道は細くなる。途中の分岐点で、一旦停止した軽トラのおばあちゃんに会釈すると「旧道はそっちよ」と声をかけてくれた。こちらが何をしているのか分かってくれている。数は少ないかもしれないが通る人がいるのだろう。そういえば、これまでの道、石畳は苔が生えていたが、それ以外では草ぼうぼうという道は少なかった。田畑に行くクルマが時々走っているのかもしれないし、私みたいに自転車でまたは徒歩で行くモノ好きが多いのかもしれない。


米賀橋 手前


山門
 それからは細い山道を下るような格好で走る。大きな道に出会うがこれを横切ると古い道標がある。間違いない。そのまま進むと米賀橋にでる。古い石橋だが、下は幅の広い滝になっている。国道側からは滝は見えない。もったいない事である。眺めていたら散歩している人がいたので、それから先の道を聞く。道路改修工事を横でやっているが、旧道はあちらと指してくれた。そこからは小さな集落を上り下りして進む。ここら辺りはとにかくアップダウンが多い。それも勾配がきつい。古くからの寺の山門や石倉に目を奪われながらも進んでいく。





神馬の石橋


一里山石灯籠
 新しい道を走っていても脇道が見えると、これが旧道だと判るようになってきた。勝海舟も感動した「神馬の石橋」にたどり着く。小さな石橋だが、上にコンクリートで補強してあるので実際の石橋は下を見ないと分からない。そこからまた上り、上りきった所を少し行くと田園風景が見渡せる。今回の一つの目的、「一里山石灯籠」である。ここで小休止。更に走り始めると久住の町が見える。小さな古い神社には文政の文字、約200年ほど前のものである。下った先に国道が横切る。そうか、ここに出るのかと感動してしまった。前回は少し勘違いをしていた事にやっと気がついた。


銀杏


境川の眼鏡橋
 久住の街を通り過ぎるとまたもや上り道である。本当にこれまでいくつの坂を上り、下ったのだろうか?途中の金毘羅神社では銀杏の木が黄色になり、地面が黄色の葉で覆われていた。実が落ち異様な臭いが漂う。誰も拾う人がいないのだろう。更に進むと国道を少し逸れた境川の眼鏡橋に至る。誰も通らぬ橋は荒れて、橋の上には木さえ生えている。実は今回、一番の難所がそれから先だった。



第268回へ続く...

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