カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第268回

清ちゃんのつぶやき(その217)豊後街道(笹倉−神堤)その3



 石橋を後にして国道を斜めに横切る。そこから上に伸びている道が街道跡というのは分かっていた。その道を登っていくと、とてもではないが走れない。腐葉土みたいになっていて自転車を押していっても足首まで埋まる。そのうちに倒木が道を塞ぎ、先は藪、完全に廃道になっている。自転車を停め、少し徒歩で行くがやはり通ることができない。仕方なく、国道まで自転車を押して戻った。膝から下は無数の草木の種がこびりついていた。払いながら、どう迂回するか考えた。この山を越えたポイントはある程度分かっている。とりあえず、そこまで迂回して国道を走ることにした。


行き止まり廃道
 豊後街道は途中で別の国道と合流する。ポイントがその国道上にある。しばらくするとロードパークがある。肥後街道の石柱やらモニュメントがあった。先ほどの廃道で精神的に疲れていたのでちょっと休む。可愛い籠担きもあった。そんな事をしている内に陽がだんだん傾いてきた。走る自分の影がだんだん長くなっていく。まだ午後5時前である。あと1時間程は走れると思うのだが、秋の夕暮れは“釣瓶(つるべ)落とし”と呼ばれるくらいに早い。それも山の中である。海辺の夕日とは違う。今市くらいまでなら行けるのではないかとは考えていた。国境のコーヒータイムに少し余計に時間を費やしたよなと思ってももう遅い。


ロードパーク
 緩やかなアップダウンを繰り返していると神堤の集落に来る。街道が街道として機能していた頃は賑わっていた、そんな面影は残っている。茶店や物売り、行き来する人達相手に商売も繁盛していた事だろう。集落の終わり頃、左に長湯温泉まで3kmと云う表示が見えた。近い!思わずハンドルを左に向けてしまった。街中に入り、観光案内所で宿捜し、予算と内容を言ったらすぐに見つかった。ここは炭酸泉で有名な温泉地でガニ湯という川の露天風呂もある。無料だが川向こうの旅館から丸見え、着替えも橋の下という素晴らしい環境にある。年に数回は来ている温泉地である。お気に入りの温泉の一つもここにあるが宿泊はできない。宿に着いて、湯に浸かり疲れを癒した。



 今、熊本県立美術館で「参勤交代ー大名たちの大移動」という催しをやっている。先日、帰った次の週に行った。非常に興味深く見る事ができた。それにしても軽トラが一台走れるような道、そこを参勤交代の行列が行っていたのである。900名を越える(一時は2700名という時もあったそうな)壮麗な行列が通り抜けて行くのである。想像するだけでもすごい。通り終えるのにどのくらいの時間がかかっていたのだろう。それだけの人数が泊まる宿場町の賑わいも想像してみた。





ガニ湯
 また、大利や産山の石畳を始め、二重の峠や坂梨の峠、急勾配の道を籠を担いで上ったり下ったりするのである。大変なエネルギーが必要とされる。自転車を担いでなんてまだまだ楽な方である。特に内牧に宿泊した次の宿場町は久住である。坂梨を上り、今回の大利の石畳道を始めアップダウンしかないような道を久住まで一日で行くのである(豊後街道は江戸からの帰りに使われる事が多かったようだ)。実際に走ってみると想像を絶する行程である。





県立美術館
 今回、大分・鶴崎までは行く事ができなかった。次回、12月になると思うが、神堤から今市、野津原と抜け、鶴崎に辿り着こうと思う。年内には豊後街道を走破してみたい。へたをすると鶴崎で新年というのも悪くない。着いたら瀬戸内海を臨んで、大阪の港まで行ってみたいと云った気持ちになるのかもしれない。いや、その前に関アジ・関サバの料理かな?



第269回へ続く...

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