カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第265回

清ちゃんのつぶやき(その214)サイクルモード



 今日(12日)と明日、大阪でサイクルモードが開催されている。先週は東京で開催された。楽しみにしていた人も多かったと思う。各メーカーの実車を目にするいい機会である。雑誌やネット上の写真ではなく、立体として見る事ができる。店でもよくあるのが、現車を見たかった、確認しておきたかったというお客さん達である。やはり写真で見るのと現車を見るのでは違う。写真ではいいと思ったものが、現物を見てがっかりする事もあるし、その逆もある。



 その点では、サイクルモードなどの展示会はいろいろなメーカーの製品も同時に見る事のできるいい機会である。ただ、今回、ジャイアント、キャノンデールやスペシャライズド、フェルトといったメーカーが出展していないのは残念である。それに部品メーカーの出展も少ない。まあ、これは当然と言えば当然かもしれない。製造業、特に部品メーカーが日本から消えていってしまっているからである。シマノやカンパは出展しているものの、その他は寂しい限りである。その中で老舗のニットーやミカシマが頑張っているのが救いでもある。



 以前、日本の製造業が盛んな頃はサイクルショーと云うのがあった。私も昭和40年代後半から毎年見続けていた。最初は単なるユーザーとして、途中からは出展者として、そして現在のショップ側として見てきた。立場はいろいろと変化してきたが、それでも個人的な趣味としての眼は忘れてはいない。昔はライバル社製の製品だろうが個人的に好きなものは使ったりしていた。このサイクルショー、現在のような形になったのには訳がある。少し業界の話を書いてみたい。



 当初は国の機関を中心に自転車の普及、業界の活性化のために開かれていた。それが業界の新聞社が主催するようになった。結構、長い間続けてきたが、バブル崩壊後、めまぐるしく業界が変化していく。中小の完成車・部品メーカーが倒産したり、吸収・合併したりしていく。当然、出展社も減少していく。ただ、この頃からトレックやキャノンデール、GT、スペシャライズドといった主にアメリカの外資メーカーが日本に参入してくる。



 それまで業界新聞社のお付き合い出展という会社も多かったが、外資系メーカーはドライである。出展社が少なくなれば、展示会会場を借りる費用は同じにすると、一社当たりの出展費用は高くなる。当然、それに見合うだけの効果(売上げ)を得なければ出展する意味がない。広告やこうした出展の効果測定というのは難しい。売上に直接結びつけるにはユーザーではなく、直接、客(小売店や卸問屋)に接して売り込む方がてっとり早い。そのため各メーカーでは買ってくれそうな小売店を集め商談会と称する展示会を開くのである。そのため主要なメーカーが離れ、面白くないサイクルショーになっていった。



 一般のユーザーが見る事のできない展示会が増えていったが、それではいけない。やはり自転車が売れるためにはユーザーに見てもらわなければならない。そこで従来の柵を断ち切って生まれたのがサイクルモードである。一般ユーザーにはこうした業界の事情は関係ない。現車を見て、触って、乗って(試乗コーナーもある)、夢を膨らませて購入するのである。サイクルモードに出展していないメーカーもこの点は考慮してもらいたい。実際の客は小売店かもしれないが、それを購入・使用するのは末端ユーザーである。この層を広げていくのもメーカーの責務である。



第266回へ続く...

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