カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第264回

清ちゃんのつぶやき(その213)マナー その2



 通学用の自転車が持ち込まれた。事故車である。自損事故、見て呆れてしまった。空き缶を踏んでそれがタイヤに喰い込み、そのまま前泥除を押し上げて車輪がロック、前方宙返りといった事故である。空き缶を踏んでから車輪半回転、ほんの一瞬の出来事で本人は何が起こったのか分からなかったと思う。夜だったから空き缶が見えにくかったのか、メールしながらだったのかは不明であるが珍しい事故である。



 中高学生の事故は多い。熊本は以前に述べたように自転車通学が多い事もある。フロントフォーク曲がりなど週に2,3件はある。その他にスポーク折れ、それも劣化してではなく、傘や手提げ袋、他車のスタンドが車輪に入ったとかの折れである。その他に自転車同士の事故も多い。出会いがしらの衝突や並列走行中に友人の自転車とぶつかった等である。このような事故では大怪我をしない限り警察もタッチしない。



 そのような事故だが、自転車とクルマ、自転車と歩行者というと警察も介入してくる。特に最近問題となっているのが、この手の事故である。自転車とクルマ、自転車が悪い場合も本当に多い。また歩行者に怪我をさせるなどとはもってのほかである。警察も自転車のマナーの悪さには黙っていられなくなった。



 数年前、休みの日(平日)朝に、熊本市内をクルマで走った。大江という文京地区で学生も多い所である。とにかく自転車のマナーの悪さに驚いた事がある。信号無視や並列走行、それも2台並列ではない。3列、4列と歩道、車道の区別なく走っている。信号無視では逆に青信号のクルマが急ブレーキを踏む光景を見た。これでは事故も起こる訳である。



 やっとと言うか、熊本県警でも少し前からピストの取締りにも本腰をいれてきた。山鹿で歩行者との事故があったからである。並木坂勤務の頃から感じていたが、このピストに乗る人達、一般のサイクリストとは人種が違うというか、自転車の楽しみ方が根本的に違う。ある意味ファッションの一アイテムであって、それがたまたま自転車だったといった人達である。学生にしろ、ピストの人にしろ、自転車をスポーツの道具として使う我々とは一線を画すと思う。そのような人達との違いは自転車を愛するが故にマナーを守るという事ではないかと考える。



 競輪選手が捕まったというニュースがあるが、彼らはプロであり、ピストの性質は知りつくしている。後ブレーキだけでも十分に停止する術を知っている。それに人の多い市街地は走らない。マナーも守っているはずである。警察にしても少々行き過ぎな感がある。一つの見せしめと思われる。



 今回の警視庁の通達が、ある意味、基本というか昔に戻すといった感がある。昔、我々が自転車に乗り始めた頃は自転車が車道を走るというのは当たり前だった。それがだんだんとモータリジェーションの波に呑まれ自転車とクルマの事故が増えだした。自転車は歩道へと追いやられていく。車道を走っていると後のパトカーから「自転車は歩道を走りなさい」とマイクで言われていた。そんな時代があったし、その時代に育った人が今、ピストに乗っている。



 何人かの人達とも話したが、これから先、マナーの悪さが改善しなかったり、事故が増え続けた結果、自転車走行禁止の道が多くなってくるのではないか、極端の話、自転車に乗ってはいけないという法律ができたりするかもしれない。暴走族が盛んな頃に夜間走行禁止になった道路が20年以上たった今でも走行禁止になっている。一度決まった法を元に戻すには時間もかかるし面倒である。そんな事にならないように周りにも声をかけていこうではありませんか。



第265回へ続く...

目次

清ちゃんへのお便りをお待ちいたしております。