カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第233回

清ちゃんのつぶやき(その186)フロントバッグ



 春需まっただ中で毎日忙しい。こんな中、半月程前にフロントバッグを購入した。買う予定はなかったが、ネットでゴム製のチェンプロテクターを見つけた事が発端である。これだけだと1000円程、たった一個買うだけで送料は勿体ないと思い、いろいろ見ていた。そこに一見、フランスのジルべルソーのバッグと思いきや、それのコピー版があった。マークこそ違うけれどよくコピーしてある。実際の耐久性とかはまだ使っていないので何とも言えないが、来るべき春需の終わりにはまたどこかに行こうと考えている。忙しい中でも、そんな楽しい事を考えなければやっていけない。



 以前の阪神淡路大震災の時、避難所にいた男性にニュースキャスターが避難所の生活はどうですか?とインタビューした。多分に悲観した答えを期待していたようだが、その男性、なんと「アウトドアライフもええもんでっせ」と笑いながら答えた。周りにいた避難者もどっと笑った。「家は跡かたもなく倒壊してしまったが、息子にアウトドアライフを教えるいいチャンスだ」と話しながら小学校高学年くらいの息子の頭をなでていた。被害に遭った悲壮感が微塵も感じられなかった。この人、周囲も元気付けているんだなぁと思った。今回の地震・津波での被害者の中にもそういったメジャー志向の人もいるに違いない。気の特ちようで将来が開けてくる。



 話が脱線しそうになったが、今、街中を走っているママチャリ等の一般車、全部と言っていいほどにフロントバスケットが付いている。あたり前の光景である。ところが40年程昔の自転車の写真やカタログ等を見てもらえれば分かるが、一般の自転車にはフロントバスケットは付いていない。今でも街を走っている実用車を見れば後ろに大きな荷台、これが当たり前であった。そのため、昔は荷紐専門の業者だっていたくらいである。昭和30年代初頭のサイクリングブームの写真を見ても皆、後に荷物を積んでいた。スポーツ車(主にクラブモデルスタイル)だってサドルバッグである。



 これが画期的変化をもたらすのはフランスのスポーツ車が台頭してきたからである。以前に書いた鳥山研究所、日本自転車振興協会、同工業会がフランスのランドナーやスポルティーフといったものを研究し、世に出してきたからである。それまで後ろだけに積んでいた荷物は時として、走行中に何らかの衝撃で落ちたりしていた。その場合、後ろだと気がつかないで走ってしまう。その点、フロントバッグであれば走行中でも、ものの出し入れが可能だし、飛び出てもすぐに分かる。そんな利点から一般の自転車にフロントバスケットを装着するといった方法になってきた。クルマやオートバイだと操舵輪上ではなく、駆動輪の上に荷物を置くというのが常識で、自転車の場合もそれにならっていた。



 それにしてもランドナーにはフロントバッグがよく似合う。どこかに行きたいという気持ちにさせてくれる。そうそう、今回のバッグ、自転車に取り付けたのはいいが、取り付け、取り外し、開閉時に不便そうである。やはり今のバッグの方がはるかに使いやすい感じを受ける。でもランドナーだったら多少の不便さも許せるかもしれない。



第234回へ続く...

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