カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第229回

清ちゃんのつぶやき(その182)匂い



 やっと暖かくなり始めた。自転車に乗り始めた人も多いのではないかと思う。この季節、花粉症の人にとっては迷惑な事だろうが、いろんな所で草花のいろんな香りがする。すでに、咲いている水仙や梅の香りも上品で好きである。今日、緑川の土手に行ってみた。まだまだ菜の花は満開になっていないし、土筆もやっと顔を出したくらいである。今年は寒かったせいか例年より開花が遅れているような気がする。菜の花の匂いも好きである。幼少の頃、庭に咲いていたこともあり。菜の花に囲まれていると、必死になって蜜を吸っている蜜蜂と、祖母の顔を思い出す。



 海外に行った人には分かるだろうが、国によって、その国の匂いというものがある。フランスにはフランスの、イギリスにはイギリスの匂いがある。台湾や中国などにもそれぞれの国の匂いがある。空港に着いた途端、あっ、この国に来た!と感じる事が出来る。ものの数十分すると感じられなくなってしまうのだが、確実に国特有の匂いがある。昔、東京にいた時、某駅のガード下を蒸し暑い夏にその頃の同僚と通った。その途端、「台湾の匂いがする」と二人同時に言葉を発したことがある。その後、顔を見合わせ苦笑いをしたが、ふと、こんな経験をする事がある。



 この匂い、その土地で栽培している野菜や果物等の食品、それが街中のレストランや家庭で調理される。それにその国特有の樹木や草花などの匂いに混じって醸し出しているものだと思う。昔、東京で本場の味というふれこみで香港人が経営しているレストランに行ったことがあるが、何か違う。聞いてみると青梗菜(チンゲンサイ)に似た野菜があるが、日本で使うとその香りが強すぎて日本人には受け入れにくいと云う事で使っていないとの事だった。確かに中国や台湾に行った人が初日に食事が喉を通らないと聞いたことがある。日本人観光客が多く利用するホテルではレストランでも日本人向けに違う野菜をを使ったり、香辛料を変えてアレンジした食事を用意するといった話も聞いた。



 普段、自転車と接している我々には感じなくなった匂いがある。それが自転車の匂いである。通学用の自転車を購入しに店に入った途端、子供がふと漏らした言葉、“自転車の匂いだ!”。そうです、自転車にも匂いがあったんです。ゴムと油の入り混じったような匂い、もう、はっきりとは思い出せないが、昔は感じていた。そう言えば並木坂店勤務の頃もカップルで入ってきた女性の方が“わぁ、自転車の匂いがする!”と感動されていた。“自転車の匂いっていいですよね?”と言われても、こちらは感じなくなってしまっていて、苦笑いするしかなかった。



 そう言えばお客さんのクルマに自転車を積む時、リヤゲートを開けた途端に新車の匂いがする事がある。クルマの香水にもラベンダーやバラの香りだけでなく、新車の香りというのがあってもいいなと思う。もうすぐ19万キロを迎えるクルマに乗るとつくづくそう思う。



第230回へ続く...

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