カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第223回

清ちゃんのつぶやき(その176)地獄温泉・清風荘



 先週、南阿蘇にある地獄温泉に行ってきた。ここは私のお気に入り温泉の一つで、近いこともあり、時間があれば行っている。泉質は硫黄泉、鹿児島や大分では多いが熊本では意外と少ない泉質である。酸性の強い泥湯を含む違った5種類の湯を楽しむことができる。自墳泉でにごり湯というのが好みなので季節に関わらず行っている。特に冬の寒い時、乾燥肌なので入浴すると効果がある。寝付く際、かゆみが襲ってくる事が多いが、温泉に浸かるとその夜はそんな事もなくぐっすりと眠れる。この時期、いつもなら霧島の湯治宿に行く。霧島には3つ程お気に入りの温泉がある。正月休みが終わった今の時期は宿泊客も少なく、料金も安い。それにしても温泉に浸かる度、九州は良い所だなあと感じる。



 実はウチから地獄温泉まではクルマで70分くらいで行く事ができる。いつもは日帰りなのだが今回は宿泊。クルマで行くとあまりにも近すぎるので自転車で行ってみようかと思った。ところが当日は昼過ぎまでは用事がある。俵山を越え、一旦下り、またあの地獄温泉までのきつい坂を上るには午前中に出ないとランドナーだときつい。師走の忙しさもあってしばらく自転車に乗っていないのも手伝って、ズルして途中までクルマで行こうと考えた。どこに停めるか少し考えたあげく内牧温泉に決めた。良心的にも内牧には無料駐車場が数か所あり、温泉に入るにも街中探索にも気軽に利用できるようになっていた。



 内牧温泉と言っても阿蘇である。下界とはやはり気温が格段に違う。少し不安に感じるものの、駐車場にクルマを停め、さて出発。地獄温泉までの距離はたいした事がないので少し遠回りすることにした。走り始めて平野部を進むが風が異常に冷たい。風をまともに受ける。帽子を被っているのだが、耳がちぎれるように痛い。猿回し劇場からファームランドへの道に入った途端、道の両端は積雪である。指先とつま先も寒さが増して感覚が鈍くなる。勾配もきつくなっていく。草千里まで行くのは諦めて途中から地獄温泉の入口までの道に向かう。



 入口付近まで来て、これからずっと上りだなと覚悟する。時間はあるので、もし時速5キロ以下になったら歩いてもいいかなという気持ちになる。ロードレーサーだと自転車を押して上るというのは恥だが、ランドナーだとそれもありっといった気分になれるから不思議である。上るに従って両側の積雪量も増えてくる。陽の当たる所はいいのだが、問題は陽陰で、凍っている。コーナーを抜ける時、ちょっと立ちこぎでもしようものなら後車輪がつるっと空回りする時がある。クルマのタイヤの轍だけをトレースするように走る。2度程少し押して歩いたが意外と乗って行くことができた。旅館に到着した時は汗びっしょりだった。すぐに温泉に浸かって汗を流し、指先を温めた。



 夕食は牡丹鍋(猪肉)を基調とした鴨、鹿肉もある鍋コース、久々に贅沢をした。後は再度温泉に浸かり炬燵に入りゆっくりと本を読む。就寝前にもう一度温泉、布団に潜り込んでも寒さは感じなかった。翌日、起きてから温泉(朝風呂はいい!)、食事は普段なら水の上を流れてくる朝食なのだが、水が凍っているとかで今朝はバイキング形式になっていた。食事後に再び温泉に浸かってから出発。長い下りである。旅館の人が「積もっていないから大丈夫ですよ」と言っていたが、それはクルマでの話、自転車だと慎重を極める。場所によっては昨日以上に凍結していた。昨日は2時間半以上かかってきたが、帰りは平野部を避け、山際の的石ルートでも1時間半で内牧に到着してしまった。



 冬の阿蘇は十分な防寒対策(今回はグローブの選択のミスもあった)が必要である。いつも素晴らしい阿蘇だが、冬ならではの素晴らしい風景があるし、冬の温泉も格別である。本物温泉を味わうと幸せな気分になることができる。



第224回へ続く...

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