カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第224回

清ちゃんのつぶやき(その177)ブレーキング



 このシリーズを見ておられるAさんからメールをもらった。何枚もの写真を見た結果、「右後ろなんですね」という事だった。右後ろとは右のブレーキレバーで後ブレーキを作動させる事である。一般に国内の完成車は右のレバーで前を、左のレバーで後ブレーキを作動させるようにしてある。更にメールでは、その理由は?メリットは?と続く。



 皆さんの中にも右後ろにしている人も多いのではないかと思う。理由はと言えば左手を離している事が多いからである。ロードレーサーに乗っている人の多くは走りながらボトルの水を飲んだり、補給食を食べたりする。その際に左手でやる事が多い。右手は頻繁に使うリヤのシフトのために空けておきたい。そのため突然のブレーキング時には右手で後ブレーキを操作するといった右後ろ方式にしている。ランドナーなどではロードと違って頻繁に走りながら飲み食いをするわけではないので右後ろにする必要性もないのだが、自転車によって方式を変えていると戸惑う時もある。そのため所有する自転車は全て右後ろにしている。



 雑誌やカタログを見ても右後ろというのは結構ある。ヨーロッパのレースの写真や完成車のカタログ写真を見てもらえれば分かると思う。カンパやデュラエースのブレーキ本体のアウター受けが右になっている理由も理解できるはずである。前ブレーキを正面から見るとアウター受けは左にある。これは左ブレーキレバーからアウターを持ってきた時にそのラインがスムーズになるようにしてあるからである。ツーリング車のようにカンチやセンタープルキャリパーのブレーキも欧州車では右後ろになっている。



 これはレーサーが盛んなヨーロッパの習慣からきたものだと思う。レースを止めてツーリング車や一般車に乗る時も右後ろにしておかなければ咄嗟のブレーキング時に対応できない。自分でも時折困るのがスクーターに乗る時である。右前になっている。普通に乗っている時は幾分意識したり、前後を同じくらいにかけているので問題はないが、急ブレーキ時には従来の習慣から右を左より強めにかけてしまう時がある。結果、フロントサスが沈み込み過ぎて怖い思いをすることがある。



 先日、地獄温泉に行っての帰り、凍結した道を下ったが、こんな時は後ブレーキを多用する。自転車に限らずオートバイ等の二輪車の制動力は前の方が強い。止まるためには前を強めにかけた方が早く止まる。平地では前6、後4くらいの割合でかけた方が止まりやすい。そのためカンパでは前用と後用のブレーキ本体が専用設計になっていたりする。それが本来の姿かもしれない。



 ただ、下りは別である。後をメインにかけながら前を補助的に使うようなブレーキングが必要になってくる。ここら辺りは頭でいろいろ考えるより、走り込んで失敗を繰り返しながら身につけていくのが早道かもしれない。よく雑誌などでも書いてあるが、あまり頭でっかちになって走るより、時には転倒というリスクを負いながらもブレーキング技術を習得していった方が咄嗟の時に役にたつ。



第225回へ続く...

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