カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第205回

清ちゃんのつぶやき(その160)円高



 この時期、2011年モデルが雑誌等で発表になったり、業者向けの発表会が開催されている。よくなったものもあるが、ちょっとと考えるものもある。価格も少し安くなっているものもある。ここにきてこれまでの円高のメリットが出てきた。そんな中、更なる円高になってしまった。数日前、やっと日銀が介入して少し戻ったものの、今週初め、ニュースを聞いた時は驚いた。1ドルが83円、これまでは考えられなかった数字である。うそだろう?そんな気持ちを抱いた。民主党代表を選ぶ茶番劇選挙などやっている状況ではなかったはずである。本当に日本を代表する政治家であればもっと早くに手をうっていなければいけなかった、そんな状況だった。



 今回は少し硬い話になるが、直接、間接的に皆さんに影響してくる事である。円高と聞いて何を思うだろうか?海外ブランドの自転車やパーツが安く買えるからいいじゃないと単純に思うだろうか?それともちょっと待てよ?この先の日本の産業はどうなるのだろうと考えたのだろうか?



 今の不況の要因の一つが円高にある。これまで何度も円高になった。戦後、1ドル360円という固定相場の永い時代もあった。日本が高度成長をなし始めた頃、変動相場になり、180円やら150円と除除に円高は続いていった。20年程前には120円くらいになった。これまでの円高の際、輸出をメインとしている会社はその度に苦しんだ。経費を切り詰めたり、製品コストを削ったり、企業努力をしても自分たちの力だけではどうしようもできなくなる事だってある。そこで生き残りをかけて、円と云う通貨を使っている日本にいるから円高に苦しめられるのだ、海外に出ればいい。そんな結論に至り、多くの企業が日本を捨て、東南アジアに工場を移転させた。



 国を根本から支えていくものは農業である。第一次産業である。極端な話、携帯電話がなくとも人間、生きていけるが、食い物がなくては生きていけない。それに対して、国の経済を活性化していたものが工業・製造業だったのかもしれない。各種の電化製品や自動車は日本が発展していく礎になったと思う。今仁になっての反省だが、(自分も含め)消費者として、価格、価格と言い過ぎたのではないかと思う。消費者が安いものを求めているのであれば、作る方、売る方でもそれを考慮しなければならない。結果、材料や人件費を海外に頼ることになる。



 今、日本製自転車、オール・メイドインジャパンというのは皆無である。パーツにしても微妙なところである。本体は日本で作っていてもベアリングは中国製とかはざらである。シマノだって、日本製と思っていたティアグラや105もいつしか東南アジア製になっていった。それでいいじゃないか、それが時代の流れなんだよと言われればそうなのだが、今一つ腑に落ちない。このまま工業が衰退していったなら、労働人口も減ってくる。その分、失業率も高くなる。スラムの新しいコンポが超円高で安く出ても、それを買う金がない、趣味で自転車に乗っている場合ではないといった若者が出てくる。この国が抱える莫大な借金を返済するのもこれからの若者である。国は若者に夢を与えなければならない。そんな事を考えるのは私だけだろうか?



第206回へ続く...

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