カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第159回

清ちゃんのつぶやき(その120)店



 21日付けでこれまでとは別の店舗に異動した。これまで街中の店だったが、一転して郡部という環境である。それぞれに特徴がある。今回はじっくりと話ができる店になった。街中の店ではなかなか相談にものれないという事も多かったが、それは解消できると思う。それにしても、本当に不思議なもので、同じ熊本市内で、少ししか離れていないのに客層が全く違うという光景を見ることができる。街と郡部ではもっと違いが見られる。



 以前、東京にいた頃、行きつけのバイク屋が支店を増やした。環七という幹線道路沿いの少し道路を隔てた向こうとこっちなのだが来店する層が違うのである。走り屋グループとツーリンググループに分かれてしまった。もちろん、店の担当者の性格にもよるが、不思議な現象だなとその時は思った。



 考えてみれば、いろんなショップ、その店のオーナーなり、担当者によって客層が違う。これは自転車店に限ったことではない。様々な業種がそうである。こんな小さな店が、と思っているとその筋では有名な店だったりする。自分自身、これまで行きつけのところも店の大きさや汚さ(笑)には関係なかった。やはりオーナーというか、店のおやじや店員と話が合うような店に行っていた。



 もうなくなってしまったが、港区にあった有名な店などは入った途端、足の踏み場もないような店だった。どこにあるのか分からないような店内で宝探しのようにパーツを見つける、それが楽しみだった。それでも次から次へと来店があり、繁盛していた。オーナーのT氏が本当に自転車好きだったという事が一番の要因であったろうと思う。



 美味いと有名な行列のできるラーメン屋が、寒い中、雨の中、外に並ばなくていいように店を改装して広くした。その途端、客が激減したという話がある。実際、東京にいる時にそんな店を見た。客は行列して待つのを楽しみにしていたのかもしれない。ある種の欠乏感というか、そんなものが大切なのかもしれない。欲しい時に欲しい物がすぐに手に入る事も大切かもしれないが、待つといった楽しみもある。



 2009年モデルは生産終了となり、2010年モデルも少しずつ店頭に並び始めている。各メーカー、完全に出揃うのは来春になるだろうと思う。注文しても来年3月といったモデルも多い。ただ、今、注文しておかねば3月には届かない。3月に注文しても更に二ヶ月先といったケースもある。冬の間はひたすらじっと待つ、待った挙句にようやく手に入れる、それもそれで喜びが倍増するかもしれない。そんな人は自転車を大切に扱ってくれることが多い。冬眠でもして待つ、そんな気持ちもあっていいかもしれない。

第160回へ続く...

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