カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第157回

清ちゃんのつぶやき(その118)クラブ



 先日、久々に日曜が休みだった。店が年中無休(大晦日と元旦は休み)なので交代で休みをとることになっている。土日は来店も多いのでほとんどのスタッフは出勤である。交代制なので、連休中等に一日休みがあるということはあるものの、日曜休みは珍しい。せっかくの休み、天気も良かったので午後から自転車で走りに行こうと考えていた矢先、母親から電話で、用があるからクルマで乗せてってくれと言われた。予定変更で午後から出かけた。



 日曜の風景をあまり見たことがなかったが、結構自転車で走っている姿をあちこちで見かけた。ほとんどが男性一人、それも中年である。中年夫婦で走っていたのは一組、後は3,4人で走っている姿も見かけた。男性一人で走っているのにもいろいろあって、ロードレーサーでウエアもきめて走っている人、泥よけ付クロスバイクで普段の格好で走っている人、さまざまである。フォームを見ても、乗りなれている人、初心者の人、一目でわかる。



 一人できままに走っているのも楽しいものだが、同じ職場で、同じような人達がいればそれもまた楽しい。普段の仕事場では見られない姿が出たりする。何かメカトラブルが起こっても、数人いれば何とかなることだってあるし、走りのテクニックや知識も上達していく。最近は少なくなった感があるが、町のサイクリングクラブのようなものも楽しい。私個人、中学生の時からそのようなクラブに所属していた。そこで学んだことは本当に多い。



 かつて、サイクリングブームと呼ばれた頃があった。自転車の普及活動もあった。日本の高度成長と同時並行して自転車の生産も増えていっていた頃のことである。各地方に自転車店を核としたクラブがいくつもあった時代がある。親の転勤でいくつかのクラブに所属した。どこのクラブにいっても、同じような年代の人から、中年をはるかに過ぎた人まで、さまざまな人達がいた。もちろん体力的なものも違う。走りに出るといくつかのグループに分かれる。同じ中年でも先頭の若い連中と走ることのできる人、高校生でものんびり派のグループで走る人、いろいろだった。



 このようなクラブに所属しているとメカに関してや走り方に関して学ぶことは多かった。変速のトラブルや車輪のトラブルでも誰かが教えてくれて応急処置を施し、普段の使い方の注意点を教えてくれた。サドルの高さや角度、登坂時のハンドルの引き方、ペダリングの仕方、先頭交代のテクニック等、本当にいろいろ教えてもらえた。その他にもサイクリングとしてのマナーとか精神面でも教えてもらった。



 立てかけてある他人の自転車を見ているだけならいいが、触ってはいけない、ましては跨ってみるなんてとんでもない。廉価な自転車でも当人にとっては大切なものだから、ばかにしてはいけない等、ありとあらゆることを自然に教わった。本当に自転車が好きな人達の集まりだとそれぞれを尊重する、そんな姿勢があった。中年の人も我々、中学生、高校生にそれなりに接していてくれていた。同じ職場の同じ年代の人達と走る、同じ学校で同じ年代の連中と走る、それもそれでいい。ただ、違う職業や年代の人達と接することで学ぶことも多い。そんな人達と多感な頃にめぐりあえて、今になって、本当によかったと思える。

第158回へ続く...

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