カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第149回

清ちゃんのつぶやき(その113)試験



 やっと夏らしい天気なった。この暑い中、自転車で走ったりしていると、体にいい事をやっているのか、悪いことをやっているのか分からなくなる時がある。それでも、家にじっとしているよりは外に出た方が気分がいい。実際、1時間ほど走ったあとで、木陰を見つけ休憩していると本当に気持ちがいい。



 この時期、もうすぐしたら自転車屋にとっては重要な試験がある。一般の方々にはなじみがないかもしれないが、自転車整備士、安全整備士と云った自転車を取り扱ううえで必要な国家試験である。一定以上の技術や知識を持っているかが問われる。一年に一回、毎年、この時期に行われる。カガワでも5名が今回受験する。



 多くの方が自転車屋にも資格が要るの?と思われている。資格がなくとも自転車屋はできる。ただ、自転車でも乗り物、人の命を預かっているのである。素人でも自転車はいじることができる。あまりにも身近にある乗り物なのか一般にはその点の意識は少ない。走っている途中で車輪が外れる、急にハンドルが動いた等といった事があれば本当に命に関わる。



 普段持ち込まれる修理の自転車の中には自分で、またはお父さんが修理したけど何かおかしいといったものが時折ある。部品の組み付け順が違っていたり、ねじの締め付け力が不足しているものもある。見たとたん、ぞっとするものもある。ブレーキなどの組み付けが間違っていたりすると走っている最中に外れたりする。よくここまで乗ってきたなぁと感心する場合だってある。素人作業では本当に危ない。



 試験の内容は自転車の知識が問われる2種の筆記試験と自転車の分解、組み立ての実技試験がある。また、どの程度安全に関する知識を持っているかが問われる面接試験も行われる。筆記試験は皆さんが思われている以上の知識が必要になってくる。工業高校程度の知識は要る。受験資格も誰もがあるわけではない。実務経験2年以上の者とある。つまり、1年程度では得られる知識や技術の内容ではないですよという意味である。内容は深く、濃い。



 実技で皆、苦労するのが車輪の組み立てである。ハブ、スポーク、リムで後車輪を組むのである。馴れた人にとっては面白い作業ではあるが、初めての人にとっては苦労する。今では完組ホィールが売られていて、スポーツ車を扱う店でも車輪を組めないところがある。うわさでは聞いていたが、先日、実際にそんな店があることを知った。石に乗り上げてリムが曲がったが、リム交換ではなく、車輪ごと交換させられた。我々でも、ものによっては時々ある。リム代と交換工賃を合わせると車輪の方が安くあがったりする。



 普段、何気なく立ち寄ったり、眺めたりしている自転車屋さん、資格を得て真面目にやっている店、そうではない店、さまざまある。そう思って店を見てみると今までとは違った見方ができるかもしれない。外観や品揃えに惑わされることなく店を選ぶ。それがこれからの賢い消費者の姿かもしれない。

第150回へ続く...

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