カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第129回

清ちゃんのコレクション(その27)マファック・ギドネットレバー



 桜の花も咲き、ついに春休みに突入した。毎日が戦争になっている。ゆっくりとスポーツ車を見たい方、相談したい方にはご迷惑をおかけする。我々スタッフも目が血走っていることも多くなる。4月の中旬には少し落ち着いてくるので、それまで待って欲しい。さて、前回、ブレーキの残骸が出てきたと書いたが、その中に写真のようなものがあった。ブレーキレバーである。レバー部が曲がっているが、転倒で曲がったものではない。最初からオフセットしてあるのである。



 何のために?と思われる方が必ずおられる。実はこのレバー、ドロップハンドル用である。ドロップだとフッデッドレバーというのが、今の常識である。初心者のために、バーの上を握った時に使う補助レバーがあったりする。今回のマファックのレバーは補助ではなく、メインレバーである。ツーリストのようにドロップハンドルの上部を握ることの多い人用に作られたものである。今のフッデッドレバーの位置には突き出したグリップ(探したが見つからず)のみが取り付けられる。のんびり走る時にはぴったりのレバーである。



 欠点としては、当然のことだが、ドロップハンドルの下部を握った時にはブレーキレバーを握れないことである。下りでどうしてもハンドルを押さえつけてコーナーリングする事があるが、その場合はスピードコントロールができない。ハンドルの下部を握るのは上りだけになってしまう。長所としてはブレーキングのレスポンスがいいことである。組み合わせるブレーキ本体はカンチブレーキがメインで、時々、キャリパーブレーキもある。どちらにせよセンタープルである。効率的なセンタープルだが、カンチブレーキはあまり効かない。それをレバー側で補うような感じになる。



 マファックのカンチブレーキはアルミ板を組み合わせたものなので、引いた時のロスは大きい。本体自体に剛性がなく、今のアルミ一体ものとは比較にもならない。ギドネットレバーを組み合わせた場合にはブレーキワイヤーも短くてすむ。特にフロントでハンドルを下げていれば、アウターは5センチくらいですむ。レバーからブレーキ本体までの力の伝達がいい。



 そんなレバーだが国産でも真似をするところもなく消えていった。私自身も片倉の自転車にほんの一時期付けていただけである。理由は先にも述べたが、ハンドル下部を握った時にブレーキングがかけられないことである。手の甲で押し上げるような事もしていたが、微妙なコントロールはできない。下りでもあまり速度をあげない人にはよかったのかもしれない。



 こうして見ていくと、このように出ては消えていった様々な部品がある。時代背景がそうさせたのである。今あればといったものもある。そのまま進化していればと思うものもある。次回はそのようなものを紹介していきたい。

第130回へ続く...

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