カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第127回

清ちゃんのつぶやき(その98)トラック用バーテープ



 いよいよ高校合格発表が来週に迫ってきた。この日から熊本市内では、本格的な「春需」のスタートである。これから一か月半の間、春休みが終わってしばらくは戦争みたいな日が続く。厳密にいえば5月の連休まで尾を引く。毎年のことではあるが、本当に皆さんにご迷惑をおかけする。普段でもゆっくりと話ができないことが多いのに、この季節は声をかけるだけで終わってしまうことが多い。



 先の休み、天気にも恵まれたこともあり、しばらくできないクルマや部屋の掃除をした。黄砂で汚れたクルマやバイクを洗い、古新聞をまとめたりした。そんな時、一つの袋が出てきた。中身は未使用のバーテープである。FUJITAやVIVAの綿テープ、一時期流行ったBENOTTOの半透明ビニールテープ、OGKの蛍光テープ等である。その中に写真で見ても分かる、径の小さい綿テープが数セットあった。何だろうと思われる方もおられると思う。これはトラックレーサー(ピスト)用のテープである。



 ずいぶん前、トラックレーサーではゴム製のグリップを使っていた。握った時に緩むのを防ぐため、相当きつかった。入れる時は湯に浸して少し膨張させてから入れないと、なかなか入ってくれなかった。アマチュアはロードにも乗っていて綿テープを使っていた。ただ、同じドロップハンドルでもロードとトラックでは巻く量が違う。普通の綿テープを使うと3回位使えた。そんな時、どこかの店(思い出せない)でトラック専用のものを見つけ購入していたものである。



 今回、改めて見てみると、エンドキャップには丸石の名がある。トレードマークであるカンガルーマークも入っている。丸石は今でもあるが、会社内容は大幅に変わっている。車種も昔と違ってかなり絞られている。嬉しいのはシティ車や子供乗せ専用自転車に混じって、限定生産ではあるが、ランドナーが生きている。子乗せ専用自転車(ふらっかーず)もそうだが、丸石はニチェマーケットをよく狙っていた。所謂、隙間商品というジャンルである。かっては日本を代表する老舗メーカーだったが、ブリヂストンをはじめ、他メーカーに押され4,5位に位置するようになった頃からそのような戦略を取り始めていた。



 今でもそうだが、地方に行くと昔からの自転車屋さんに看板が残っている。丸石、ツノダ、フジ(日米富士)、驚くことに山口(ペニー)の看板が残っているところさえある。昔から作り上げた販売網はもったいないなぁ等と考えてしまう。これも時代の流れなのだろうか?そう言えば丸石とは以前に勤めていた会社の関係で、つきあいがあった。会社同士も近かったということもある。



 会社にも校風と同じように社風というのがある。丸石の場合は人間的にいい人が多かった(誤解されては困るが、他の会社に悪い人が多かったという意味ではない)。人がいいと言うと、悪くとられがちだが、営業や技術、開発、品質管理に至るまで、本当にいい意味で、いい人達がいたという印象を持っている。今でも残っておられる人たちもいる。今の時代の追い風を利用して、頑張ってほしいと願っている。肝心のトラック用バーテープの話と丸石での商品開発のエピソード等は後日、書いてみたい。

第128回へ続く...

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