カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第93回

清ちゃんのつぶやき(その77)ウイングナット



 そろそろコレクションの方を、と思って押入を開けるのだが、数箱動かしただけで汗びっしょりになる。なかなか目的の箱にたどり着けない。覚えているだけでもギャリやジピアメ、ゼウスのディレーラー、へんなチェンホィル、その他等々あるはずである。また、サンツアーとシマノが同じグループに属していた頃のカタログや海外で得た昔のカタログ等もある。




 それらを捜す途中で、ザコものが入った小箱が出てきた。開けてみるとマファックの工具やら三ヶ島、ユニークロードのキャップ外し、エベレストの旧ヘッドマークやら入っている。特にコレクションで紹介するものはないと思い横に置いた。汗を拭きながらふと考えると、ウイングナットって、若い人たちは知らないだろうなと思い、ここに紹介した。



 写真のものはスギノ製、アイドルという名で売られていた。たまたまスギノ(チェンホィルメーカーだが、結構、いろんなものを作っていた)製しか入っていなかったが、この他にもユーレーだのGB、コバだの数種類のウイングナットも持っていることを思い出した。アイドルも他に白色も所有していたはずである。



 ところでウイングナット、どこに使われるものか知っている人は相当のおっさんである。答えはハブナットである。今でこそクイックレリーズのハブが3万円代の自転車に使われているが、ずっと前はクイックレリーズハブを使っている自転車なんて高級車だった。そもそも、チュリオ・カンパニョロがクイックレリーズハブを作ったきっかけは、選手時にクローチェダウネ峠で、寒さで手が悴んで車輪を外せなかった事に由来する。



 手軽に車輪が外せるという事で、かってはツーリング車にもかなり使われていた。いつ頃からウイングナットがなくなっていったのか、今、考えるとアメリカのCPSC規格が制定された70年代後半頃ではないかと思う。この規格のなかでシャープエッジという尖ったものは自転車に使ってはダメ、というのがあった。カンパのクイックレバーが曲がったものになったり、ブレーキのクイックレバーが丸いものになったり、タイヤガイドにラバーが被せられたりしたのもそういった理由による。



 実際、街中でウイングナットを使った自転車が歩行者と接触し、怪我を負わせたといった話も聞いた。今では二人乗り用の足乗せと思っているメカガードにしても、棒状のものから綿材を曲げたものに変わっていった。たった一つの部品だが時代の変遷を感じ取ることができる。こうしてみると自転車って本当に面白いものである。

第94回へ続く...

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