カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第88回

清ちゃんのつぶやき(その72)梅雨



 いよいよ梅雨に入ってしまった。自転車に乗る回数も減ってくる。ただ、どうしても乗らなければならない時もある。レースとツーリングである。クラブランだと雨だから中止にしようと言えるが、先の2つはそれが言えない。



 オリンピックがない年だと、この時期、実業団の東日本や西日本の大会がある。全日本に出場するためには走らなければならない。群馬CSCなどは山の上にあって、麓は晴れていても雨が降っている場合もある。土砂降りの中のレースは走る方も、見る方も大変である。唯一、助かるのは水分補給をしなくてすむくらいのものである。



 走る側として、雨の日のレースは個人的にはきらいではなかった。一つには呼吸が楽である。それに無謀な逃げをうつ選手が少ない事もある。ある意味、リスクのある下りのコーナーリングを集団でいくよりも、自信があれば一人で逃げた方が安全な事もある。



 集団でいやなのは前の選手からの水飛沫。今はクリアレンズのサングラスのもので、いいのがある。事前にコーティング剤を塗っておくことで視界を確保できる。それでも雨がひどい場合には先に逃げている選手やコースが見えない時もある。霧が発生したりすると自分がいったい、どこを走っているのか、誰が逃げているのか分からなくなってくる。



 そういえば、雨の日のレースで、あまりにも雨足が強く、レース中に周回数が短縮になった事がある。ホーム前を通過しても、表示板が見えない、役員が何か叫んでいるものの聞きとれない。同じ集団のやつが「短縮になったみたいだ」と言って、次のホームの前でやっと気づく。こうなるとパニックである。各チーム、選手、それぞれ組み立てた作戦や計画がある。それが崩れ去る。あとは早く対応した選手、チームの勝ちである。



 ツーリングではがむしゃらに走ることはないものの、その分、雨対策も必要である。荷物が濡れないようなバッグへの収納、着替えが乾燥していなくては気持ちが悪い。それにちゃんとしたカッパやポンチョが必需品となる。あとは雨の日は宿に泊まるのが一番である。冷えた体を温める風呂、濡れた荷物を乾燥させ、ゆっくり眠ることが次の日を走りきることに繋がる。雨の日に野宿やキャンプをすると分かるが、屋根があるという事がいかに重要かが体感できる。



 朝起きて雨だといやである。ただ、ちゃんとした準備、装備をして走り始めたら、意外とそうでもないことが多い。空気も澄んだ感じがするし、クルマや人も少ない。体に打ち付ける雨の音、メッキしたキャリアをつたっていく雨の滴、晴れている時には見えないものがある。雨もまた楽しからずや、である。

第89回へ続く...

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