カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第86回

清ちゃんのつぶやき(その70)Y君



 カガワグループの中にY君というのがいる。彼の経験がなかなか面白いので、少し書いてみようかと思う。いつも一人で走っている人や自転車に乗り始めて間もない人にとっては参考になるかもしれない。




 Y君、年齢30歳代、自転車の仕事に少し従事した経験があるものの、自転車に対しての関心はあまりなかった。ところが自転車通勤をするようになって、体の調子が良くなってきていることを自覚した。片道約30分、10km弱の距離である。通勤には最適の距離である。毎日乗っている内にだんだん体力やテクニックが身についてきた。元々が高校時代、野球をやっていて、それなりに運動能力があったのも幸いしている。



 最初は自転車そのものも、たいしたものではなかった。しかし、ジャイアントのフラットロード、エスケープR3を得てから、細めのタイヤの快適さを知り、少しずつ改良していくようになった。初めは走行に関係ないグリップやアクセサリー類の取り付けや交換だけだった。言うなれば、カラーコーディネイト程度である。



 少し走りに自信がでてくると、どのくらい走れるものか?と考えるのは当然である。熊本には熊鹿ファミリーロードというサイクリング道路がある。熊本市から山鹿のサイクリングターミナルを結ぶ自転車専用道路である。彼がこれを思いついたというのも自然のことである。そして、ある、晴れた休日、実行に移した。



 初めは快適に走行していた。ところが途中でパンクしてしまった。しばらくは自転車を押して歩いていたが、電話で友人を呼び、クルマで迎えにきてもらった。翌日、この時の経験を語ったが、反省すべき点が服装、装備に関するものだった。運動に適さない服装、日差しが強かったのに日焼け対策をとっていなかった。パンク修理の道具さえ持っていなかった点が挙げられた。



 我々の世代だと、これらは中学時代に体験している。友人達とどこかに行く度に、誰かが何かしらのトラブルに見舞われる。一人だと思いもつかない対処法が出てきたりする。一度など、パンクしたタイヤに藁を詰め込んで走らせたこともある。また、友人達と一緒だと誰かが怪我等で動けなくなった時も、一人は付き添い、一人は近くの公衆電話を捜しに等と行動できる。工具も皆で分散して持っていけるので負担はすくなくてすむ。



 さて、話をY君に戻そう。前回の反省を元に、スペアチューブやタイヤレバーを購入。更にそれらを収納するサドルバッグも取り付けて、再度の挑戦である。今度は同僚のN君も誘っての走行である。服装も本格的ではないが、軽快なものにした。ところが、である。何と雨が降ってきた。山鹿にたどりついたのはいいが、帰りは雨である。それでも二人、楽しく、時には競争しあって帰りついた。雨だったが笑顔で帰ってきた。



 今回の反省は雨対策である。ちょっと考えればコンビニで100円カッパを買えばすむ。これだけでも快適に走ることができる。ない時は大きいビニール袋をガムテープで貼り合わせての即席カッパも作れる。次回はどこにどういった装備で行くのか楽しみである。少なくとも自転車で走ることの楽しみ、喜びを得てきていることだけは間違いない。



 誰でも初めは初心者である。大切なのは、このように体験することだと思う。そしてトラブルに見舞われたのであれば、次回、どうすればよいか対処することである。そうする事によって安心して走ることができるようになると、もっと違ったものが見えてくるようになる。そうすれば一人前のサイクリストである。

第87回へ続く...

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