カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第73回

清ちゃんのつぶやき(その60)車輪



 先週、立て続けに車輪関係の仕事があった。最近思うのが、車輪を組んでいて、カチッとした感触がないことである。レースに使うような車輪ではなかったが、スポークやニップル、それにリムの材質・精度に関係しているのだろうと思う。もちろん、ねじそのものの精度もある。少なくとも少し前のオール国産であればこんなことはなかった。



 ハブのフランジとスポークの相性、ニップルとリムの相性もある。いろんな形態のハブが出回って、ハブのフランジの厚みや面取りが違うこともかなり影響している。中には面取りの重要性を認識していないものもある。リムにしても、スポーク穴にハトメがあるにも関わらずニップルとしっくりこないものもある。



 最近は完組ホィールも増え、自転車屋さんでも車輪の組立が出来ないところがあると聞く。ただ、車輪は面白い。組み方によって様々な表情をみせてくれる。極端な言い方をすれば、車輪は生き物である。リム一つ変えただけで性格が変わるし、スポークの張り方一つで走行が変わる。



 同じハブ、スポークを使っていてもリムを交換するだけで、体重のある選手に対応できるし、リムを交換せずともスポークだけで対応できる時もある。とにかく車輪は面白い。ただ、ちゃんとした車輪を組むのには経験や技術も要る。完組ホィールの方が便利ではある。



 このところ気になるのはニップルの精度である。JISサイズのニップル回しにも、DTサイズ(欧州)のニップル回しにも合わないようなものが結構出回っている。車輪を組むのに何種類ものニップル回しを用意しなければならない。メーカーでは自動機で組むのにはあまり関係ないかもしれないが、この点、なんとかならないものだろうか?調整するのは小売店の仕事である。困ったものである。

第74回へ続く...

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