カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第338回

清ちゃんのつぶやき(その281) 訴訟 その1



 数日前のニュースで、以前に裁判に持ち込まれたビアンキのサスペンション・フロントフォーク問題の判決が出たと云うのをやっていた。TVや新聞で御覧になった人も多いのではないかと思う。今回の結果として、販売元のサイクルヨーロッパジャパン社(以下CYJ)に1億8900万円の支払い命令が出た。見た途端、何かうーんと考え込んでしまった。かなりの高額賠償金である。そして、昔のアメリカでの裁判を思い出した。同じくフロントフォーク問題だった。



 この事故、以前に取り上げられた時、なぜフォーク先端部が外れたのかが理解できなかった。記事では内蔵されていたスプリングが腐食で折れたからと云うものであったが、未だに納得できない。スプリングの腐食だけではフォーク部分は離脱しない事はちょっと自転車に詳しい人なら理解できるだろうと思う。裁判を傍聴できていれば分かるのだろうが、報道を見ている限りでは全く理解できない。とにかく、今回の場合は構造上の問題は立証する必要なしという事だった。それにしてもフォークの製造元の責任というのはないのだろうかと云う気もする。それを採用したビアンキ側の責任を問う結果になった。



 報道されないが、実は事故車はCYJが輸入・販売をしたものではない。損害賠償を求めた人が購入した時は、CYJはプジョーブランドを取扱っていて、ビアンキブランドは別の会社がやっていた。ところがヨーロッパで親会社のサイクルヨーロッパ社がビアンキを買収し、傘下に収めた。そんな経緯があって、交渉が始まり、CYJがビアンキブランドを引き継ぎ、もう片方の会社は別ブランドを取扱う事になって今に至っている。



 思ったのが、裁判にまで持ち込まれたのは事故後、CYJに損害賠償を訴えたが、ウチで販売したものではないとはね返されたのが発端ではないかと云う気がする。これはあくまでも私個人の推測であるが、どうもそんな感じを受ける。そして、その最初の対応が誤っていたのではないかと思う。それがこじれて今回の結果になったような気がする。このような例は我々販売店でも時々ある。そんな事を言うのは、自転車を趣味にしている人ではなく、全く自転車そのものには関心のない、本当に一般の人達である。



 それに今回の被害者、根っからの自転車好きの類いではなかったと思う。通勤に使っている自転車を、休みの日にはスポーク一本、一本まで拭くといった人ではなさそうな印象を受ける。それに我々、自転車乗りはバカな連中が多く、クランクやハンドル等が折れて怪我をしても、自分のパワーで折ってしまったなどと自慢するような発言をするような人も多い。顎と腕に包帯を巻いているので「どうしたんだ?」と聞くと、「いあや、この前、上りでAと競い合ってて、踏み込んだ途端、ジュラのクランク折っちゃてねぇ・・転倒だよ、速度出てなくてよかったぁ」などと半分自分の脚力を自慢するような事を言ったりする。おいおい、そんな問題じゃないだろうと思い、伝えても笑っている。これは実話である(笑)。



第339回へ続く...

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