カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第329回

清ちゃんのつぶやき(その272)ワイヤーほつれ



 一カ月前の話になるが、年末、最終営業日の夕方に来店があった。内容は変速ワイヤーを交換してくれとの事だった。今年最後の仕事と思い、自転車に触ると妙な感触、そうワイヤーが切れているのである。それもタイコの根元部分でほつれている。レバーはSTI、ブレーキ、変速共にハンドルバーを通す形式である。とにかくこれはやっかいである。前回紹介したアンカーを直前までいじっていただけに特にその事を感じた。なんたって昔風の自転車はブレーキにしろ、変速にしろ、ワイヤー交換が簡単である。



 ブレーキと変速ワイヤーを緩め、レバーを引きだしてから残ったタイコ部分を外そうとするが、なかなか外れない。その内に閉店時間が迫り、とうとう預かってしまった。年が明けてからの最初の仕事になった。最終的には外れたものの、本当に手のかかる作業だった。ワイヤーが切れると云うのには2つある。一つはタイコの根元、ワイヤーを引いた時に一番力がかかる部分である。もう一つはアウターの中、これはアウター内部に水等が入り、ワイヤーを腐食させて切れるというものである。ただ、この場合、それ以前から徐々に引きが重たくなるとか、引きが鈍くなるような前兆がある。



 これとは別に先のキャンピング車、これも少しやっかいだった。あと少しで作業終了という頃、残っていたのが錆びた変速ワイヤーが外れないと云った事だった。こちらはサンプレックスの変速レバー、ご存じの方もいるかと思うが、サンプレックスの場合、ワイヤーのタイコ部が一般のものより細いし、公差が少ない。これが長い間の年月によって固着してしまっている。オイルを流して外そうとしてもびくともしない。最終的にはドリルでタイコを削って外したのだが、昔の部品だったのでそれが可能だった。



 普通は組み付けの際、タイコにグリスを塗って、外す時にも外しやすいようにしている。それでも長い間に水が浸み込み腐食してしまっていたのだろう。若しくは組み付けの際にグリス塗布をしていなかったかである。STIの方はワイヤーの根元ではなく、そこから15ミリくらいの部分だった。一気にトップに入れようとした時、ワイヤーの滑りが悪く、弛んだ部分が内部で引っかかったのだろうと思う。



 それにしても今のレバーはこんな場合、面倒である。一昔前の変速ワイヤーだけはレバーの外に出ている方式の方がよかった。今のレバーが発表された時、カンパのまねをしなくてもいいだろうにと瞬間思った。昔のエルゴパワー使っていたが、メンテナンスがやりにくい事は実感していた。メンテナンスも考慮した設計も必要になってくると思う。他の店やレースのメカニックはどうやっているのだろう?



 そうそう、話は全く変わるが、ワイヤー絡みでのニュース。ある部品を捜していたら昔のダイヤコンペのリヤアウター受けが出てきた。Vブレーキとサイドプル全盛の今では必要ないかもしれないが、センタープル・キャリパーやカンチブレーキにはなくてはならないものである。残念ながらリヤだけだが、新品で20個程ある。昔の自転車の再生や修理には必要なものである。アウターカップ式だが、アルミのアジャスターネジも別にある。欲しい方は早めに連絡してほしい。メイドインジャパンの頃のものなので、アルミネジでも今のものより精度がいい。シートピンも少量ながらある。



第330回へ続く...

目次

清ちゃんへのお便りをお待ちいたしております。