カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第302回

清ちゃんのつぶやき(その245)悪友



 「おう、元気にしてるか?」
 懐かしい声が電話の向こうから聞こえた。昔っからの友人である。年に数回、気が向いた時にしか電話してこない。そんなやつである。こちらからは滅多に電話しない。
「まあまあ元気にしてる。ところで何だ?」
「特にないけど、ところで、旅行用の自転車は注文したんか?」
「いや、まだ迷うところもあるし、第一、ビルダーのところに行け出せないでいる」
「今、乗っているオレンジの自転車じゃだめなのか?」
「ん?何でオレンジの自転車持ってるの知ってんだ?」
「時々、お前のブログ読んでるし、年賀状にも写っていたじゃん」
「えっ!?読んでるんだ。知らなかった。だから旅行用自転車の話も知ってるんだ。オレンジだと荷物が積めないんで専用のやつをと考えているんよ。」
「昔、持ってた赤いやつみたいなの?」
「そうそう、あんなの」
 一応、彼も昔は自転車少年だったので、私の初代キャンピング車を覚えているようだ。
「もう、今ならあんなに荷物積まなくてもいいんじゃないか?」
「幹線道路だけ走ってホテル・旅館泊まりだけだったらいいかもしれない。それでも東北や信州、それに北海道の山奥の温泉などにも行く予定だから、もしもの時を考えてテント等も持っていくつもりよ」
「あのなぁ、今、テントだってお前が、昔、持っていた帆布製の重たいのと違って、軽くてコンパクト、耐久性あるのが売ってる時代だぜ、当時に比べれば、下手をすれば半分くらいの荷物で済むはずよ」、なぜか妙にアウトドア用品に詳しくなっている。
「ん、サイドバッグ4個に目一杯詰め込むことはないかもしれない。でもバッグは要るよ」
「だったら、キャリアだけ新調すればいいじゃん。ところで自転車、何台持ってんだ?キャンピング車作ってもその後、頻繁に使うか?」
「多分、それはない」
「それなら、キャリアだけ少し丈夫なのをオーダーすれば済むんじゃ?台数も増えなくて済むぞ」
「お前なぁ、俺に新しい自転車作らせないつもりか(笑)?」
こんなやり取りを20分程かわして、他の話題に移った。
 最後に「旅に出るんだったらウチにも寄れや!」
「ああ、そうする。どうせ行きか、帰りには通る所だから」
「そんじゃ!」
「ああ」



 電話を切った。40分程話していたみたいだ。その後、しばらく考えてしまった。そうなんだよな。やつの言うのも間違ってはいない。昔はカメラや小さな目覚し時計などこまごましたものを持ち歩いていた。今はケータイ一つあれば済む。I  padとスペアの電池パックを持って行けば地図やガイドブックも要らない。旅行中も「清ちゃんの日本一周記(?)」だって作っていけるかもしれない。



 ライトだって同様、昔は単一乾電池3本使った懐中電灯も今やLEDのスリムなものになっている。振動による球切れの心配も要らない。衣類だって速乾性で小さく畳めるものがある。とにかく、いろんなものがコンパクト、軽量化ができるようになっている。ちょっと実際に持っていくものをリストアップして、揃えていこうかと考えた。



 以前、バーナーを買った時にも書いたが、炊事道具一つ、昔持っていたものに比べると半分以下の軽量化、コンパクト化しているし、コンビニの普及等もあって旅行形態も変化している。確かにまとめ上げればリヤのパニアとフロントバッグの3つでも大丈夫そうな気もしてきた。個人的にはパニアバッグって意外と好きである。キャンピング車のサイドバッグもいいけれど、パニアの場合、妙に郷愁を誘う。確かにサイドバッグは重心が低く安定する。でもパニアも捨てがたい。そもそもは馬の鞍の後ろに振り分けのバッグを使っていたのが起源である。夕陽に向かうカウボーイの後姿にパニアバッグ、絵になるなぁ。



 そう言えば、押し入れに眠っているトーエイはフロントサイドキャリアが付いている。これにリヤキャリアだけプラスしても構わない。だけどリヤエンドは120ミリだしなあ・・・。サンエクシードのハブを使ってもせいぜい6段、それも大きい歯(13Tや14T)のトップギヤがないので、トップを犠牲にして残りの5段を使うしかないのかとも思う。やりにくい時代になったものである。



 そんな風に、今、持っている自転車を流用しても、あれこれ課題が残る。もし、新しい自転車を作るならサイドバッグ4個でもかなり小型のものでもいいかもしれない。とにかく、今回の悪友からの電話で何か振りだしに戻ったような感じになった(だから悪友なのかもしれない)。変な提案(?)をしてくれるものである。逆に考えれば、それだけ私の事を気にかけてくれているのかもしれない。おかげで、もうちょっと時間が必要になった。そのうち、「おう、今から行くぞ!」たまにはこちらから電話してやろう。



第303回へ続く...

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