カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第182回

清ちゃんのつぶやき(その141)定期点検



 今週月曜日、ビアンキのサスペンションフォークが折れて怪我をし、茨城県の男性が販売元を訴えたという報道がなされた。一人の方がその番組を見て店に電話された。聞けば報道の内容はビアンキの700Cのクロスバイク、サスペンション内に水が溜まり、スプリングが錆びて折れ、ブレード部分から走行中に前輪が外れたという事である。同じRST社のサスペンションフォークを使っているが不安になったとの話であった。結構、その番組を見ていた人もいるようで、その後、来店された方々がそれを話題にされていた。



 番組の主旨としては”自転車ブームの落とし穴”という事で、今の妙な自転車ブームに警鐘を鳴らすものだったらしい。ところがビアンキという名前が出た為にその点だけが一部で一人歩きをしてしまった。要は整備や点検をきちんとやってから乗りなさいよという内容だったとの事である。今回のものは数年乗っていなかった自転車という事も後から聞いたが定かではない。乗り続けていようが、乗っていなかったにしろ定期的な整備点検は必要である。それも確かな技術や知識を持ってる店や人にやってもらう事である。クルマでは法律で義務付けているが、自転車ではそれがない。その分、自己責任という重い負担がかかってくる。



 さて、サスペンションフォークだが、水抜き加工がなされていなかったということでスプリングが腐食した。廉価ものでは時々見受けられることである。シールドも完ぺきにされていなかったと思われる。たとえ水抜き穴があったとしても、しばらく使っていない場合にはそれが詰まることが多い。我々も修理でいろいろ見てきているが、BBなどワンを外すと中からカフェオレやオレンジジュース(の様な汚水)が出てくる場合がある。錆びてオイルと混じってしまったものや錆と水が混合されたものが出てくる。別にサスペンションフォークに限ったことではないが、使い続けておく方が機械製品に対してはいい。



 ただ、不思議に思ったことが、なぜスプリングが腐食してフォークブレードが抜けたのかである。普通、スプリングが折れただけだとクッション機能がなくなるだけで抜けるようなことはない。詳細が分からないので何とも言えないが疑問に思う点である。番組を見た人でそんな構造だったという人もいるが、それだとスプリングが折れていない時にも、自転車を持ち上げただけで外れてしまう。ひょっとしたらスプリングとそれを繋いでいたボルトが折れたのかもしれない。我々もビアンキではないが、他メーカーの自転車にRST製の同様なものが装着された自転車をこれまで販売してきたが、そんな事はなかった。



 もう一つ、疑問に思っているのが、2本あるスプリングが瞬時に同時に折れたのかどうかである。片方が先に折れていたのであれば乗っていて分かる。鈍感な人でもおかしいと感じることができる。それを感じていながらも乗り続けていたのかどうかという点である。おかしいと思ったら、やはりそれなりの技術と知識を持った専門店に見せる事である。今回の番組でもそれを言いたかったのではないだろうか?不具合が出て、そのまま乗り続けても自然と治るわけがない。早めに気がついたなら、早めに治療するのが得策である。人の体と同じように具合が悪ければ医者に診せる。早期発見が重大事に至る事を防いでくれる。壊れてから持ってきても、もうお手上げというケースも多々ある。






 写真を2枚掲載している。これらは点検に持って来られた際に発見したものである。それぞれ別の自転車だが、このようなクラックも早期に見つけておけば大きな問題に発展しなくてすむ。これはほんの一例でこのような事は他にも多数ある。定期的な整備・点検がいかに重要かという話である。



第183回へ続く...

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