カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第138回

清ちゃんのつぶやき(その105)忘れ得ぬ道



 球磨川サイクリングロードを走ってきた。人吉から湯山までの川沿いの道である。人吉を出た時は暑かったが、湯山に近づくにつれ雲行きがおかしくなり、帰りには冷たい風が吹きつける小雨模様の天気になってしまった。温泉にゆっくり浸かり帰ってきた。フロントディレーラーは使わずにすんだ。晴れた日に家族連れで走るにはいいコースだと思う。先週は時間がなかったので益城・西原コースである。途中のJA倉庫のひさしの下で休憩していたら傍らに蹲(うずくま)っている子猫?、いや狸の子供だった。最近は暑いものの、空気が乾燥していて走るのには快適である。木陰に入って休むと風が心地よい。



 益城町は西原村や御船町と組み合わせればいくつかのコースが作れる。時間や体調によって、その度にコースを決めている。球磨川や山鹿のサイクリングコースのような作られたコースもあるが、クルマの少ない安全、快適な道が探せばいくらでもある。熊本のいいところである。皆さんにも、そういったお気に入りのコースがいくつかあると思う。家を出て、さあどっちに行こうかとした場合、前輪の向く方向がつい、決まってしまう。



 関東の方にしばらく住んでいた。お客さんの中にも以前、同じような人がいて、道の話になった。東京にいた頃はあまりお決まりコースはなかったが、神奈川にいた頃はいくつもあった。国道246は好きだった。今のように車が多くなかった頃のことである。松田あたりになると、力が入ってきていた。山中湖あたりもよく走った。ツーリング車ではヤビツ峠もよく登っていた。甲州街道も東京を抜けるあたりから快適になる。山梨手前あたりの景色は特に好きだった。そんな話をしながら昔、走った道のことをあれこれ思い出した。



 いつも走るコースとは別に思い出に残るような道がある。今月号の雑誌に出ていた長野のビーナスラインも茅野の友人宅に行った時には必ず走っていた。ツーリングでも忘れられない道がある。日光いろは坂から金精峠を越える道、近畿では奈良から竜神村を抜ける道、四国では延々と上りが続く足摺スカイライン、大歩危・小歩危に至る剣山への道、本当にいろいろ行った。東北から九州まで様々な道を走っている。考えてみると北海道だけはバイクでは何度も行ったが、自転車では一度も走っていないことにも気がついた。



 九州で好きだったのは、やまなみハイウエイ。熊本から別府までの道だが、昔は有料道路だった。3か所にゲートがあり、自転車は10円とか20円だったような記憶がある。別府の上り口はきつかった。これは今も変わっていない。今も好きなのは加久藤峠。人吉からえびのに至る道だが、クルマで霧島へ向かう時も人吉からこの道を使って行く。何十年も前、この道を自転車で走った。暑い盛りだったので夏休みだったと思うが、未舗装の道だった。走る車が土埃をたてていく。汗をかいた顔がざらざらになる。途中の水飲み場(昔の街道には必ずこんな場所があった)で何度も顔を洗って走った記憶がある。忘れられない思い出である。これからもそんな思い出を積み重ねていきたい。

第139回へ続く...

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