カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第120回

清ちゃんのつぶやき(その93)エコと健康



 最近、接客していて思うのが、乗る人の意識が変わってきているということである。特に初めて自転車を購入という人に多い。ガソリン価格が下がった今、自転車通勤が減ったかというと否である。寒くなったものの、減ってはいない。逆に暑かった時期よりも増えているような気さえする。一つには昨年夏頃に購入して乗り始めたら、体の調子がよくなってきたという話、また、自転車に乗っていたら面白くなってきたといった話もよく聞く。



 初めはガソリン代を節約するためといった、エコ(ノミー)目的で自転車を購入したが、乗っているうちに健康目的に変化してきたというものも少なくない。走っているうちに健康を取り戻し、エコ(ロジー)も考えるようになったと語る人もある。ある意味、ガソリン価格の高騰は健康や環境を考えるという意識を植え付けさせたのかもしれない。本当に自転車は体にも環境にもいい。今、自動車業界が減産やリストラということで問題になっている。メーカー、下請け、ディーラー等、多くの人たちがそれに依存してきた。ただ、少し冷静に考えてみると、クルマは増えすぎたのかもしれない。 



 都会では慢性化した渋滞。自転車の方が移動するのに速いということ自体がおかしい。道路の整備状況等もあるだろうが、それらを考慮してもクルマが本来、速いはずである。その矛盾点に我々はもっと早く気付くべきだったのかもしれない。今、中年になっている人達の中には若かりし頃、自転車で旅行したという人も多いが、当時はクルマも今ほど多くなかったよねぇ等の内容が会話の中に必ず入る。



 自転車購入の中には慣れてきたら、遠出をしたいといった夢を語られる人もいる。子育てが一段落したくらいの男性がほとんどだが、青春時代にランドナーやキャンピング車で旅行を経験されたという共通のものがある。それをもう一度取り戻したいといった思いがある。こんな時代だからこそ、そんな夢を描いておられるのかもしれない。



 自転車で旅行ということは贅沢の極みである。以前に書いたかと思うが、旅行していた時、金がないから自転車という手段を用いていると誤解されることがあった。飛行機で1時間かかるところを、自転車だと5日はかかる。その間、泊まることも必要だし、食べることだって必要になってくる。体を動かすから、一日3食では足りず、4食も5食も食べる。食費もかかる。それより大切なのはそれを実行する時間があるということである。時間と金、そして健康な体、この三つが揃っていなければ自転車旅行はできないのである。



 新聞やテレビ、減産だの派遣切りだの、暗いニュースばかりが取りざたされている。マスコミがそのような方向に世論を導いていっているのかもしれない。その中で夢を持つことができるというのは幸せなことではないだろうか?比較的、簡単に夢が得られる。それが自転車の良さかもしれない。

第121回へ続く...

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