カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第10回

清ちゃんのつぶやき(その6)タイヤ(1)



 オートバイのタイヤを交換した。以前、カンパとシマノのモノ作りの違いを書いたことがある。日本と欧米のモノ作り、タイヤにも現れている。日本のタイヤは新品の時は100点満点の走りをする。まるで自分の運転が上手くなったような錯覚に陥る。ところが、使ううちにだんだんとその性能は落ちていく。1万キロも走れば、ずるずるである。これに比べ、ミシュランやコンチネンタルの欧州タイヤというのは走り始めは90点くらいである。ただ、これが持続する。1万キロの時点でも70点くらいである。これには2つあると思う。



 一つには、使い方の違い。欧州に行くと国続きである。当然、ツーリングも長距離、それもタンデムで行く場合も多い。フランスを出て、ベルギーを通り、ドイツに行くのに一日で行ける。バカンスといった習慣もある。とにかく欧米人はよく走る。一日に1000キロなんて普通である。私も車だが、一日で1500キロ走った経験がある。日本での使い方とは違うのである。



 二つめは雑誌のインプレッション。どうしても新製品比較という記事が雑誌に載ってしまう。その場合、中古タイヤを比較することはない。新品の時の性能が一番重要なのである。そのため、どうしてもマーケッティング重視の日本のメーカーの場合、初期性能をよくすることに力を入れることになる。



 そういえば、自動車もずいぶん違う。欧州車は小さな車でもシートとサスペンションは日本車に比べていい。プジョーの106でも長距離走行をしても疲れが少ない。欧州では今でも石畳の道がたくさん残っているし、コンクリート舗装の道も多い。行ってみた人は分かるだろうが、パリのシャンデリゼ通り、石畳である。ツールの最終日、あのコースを平均速度50キロ以上で走るなんて狂気の沙汰である。プロはすごいと感じる瞬間である。ツールマレー、ラルプドュエズ、けっして路面はよくない。そんな所をすごい勢いで駆け上がり、時速100キロを超える速度で下っていく。それも一日で250キロの距離である。完走するだけでも尊敬に値する。かつて、日本のメーカーが欧州市場にのりこんだ時期がある。フレームが折れまくったという。当時のジュラエースも壊れまくった。鍛造ピーラーが一ヶ月で曲がってしまう。



 そんな土壌で培われた自転車が日本では入手できる。幸せなことである。乗るだけでも楽しいが、たまにはそんなことも考えながら乗ってみては?

第11回へ続く...

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